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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 1 . ( No.2 )
- 日時: 2010/03/06 21:54
- 名前: 音 ◆fpcvJMKcxg (ID: f7lRTJvX)
人は綺麗で、黒は「穢れ」で。
だったら白くて黒くて黒い僕は何なんだろうか。それは知らない。知る筈がない。
知らなくてもいいことだと、黒は云った。
…そうなのかも、知れないな。
取り敢えずは目の前の人間先ほどから僕を睨みつけているそのヒトが、何度繰り返したかもわからない言葉をまた呟いた。
「…貴方は、何なの?」
1 。
「だから言っただろう?僕は堕天使だって」
「…そう」
何も云わない。まるでここが牢獄ではないかと感じさせるほどの「重い」沈黙。
言葉を探しても、いつもの通りの堂々巡り。言葉なんて見つかるわけない。
だから僕は何も言わない。造られた天使は蔑まれるだけだから。何を言っても、何も分からないから。
僕自身が分からない言葉を発しても、僕が分からないなら何も分かるわけない。
その内、何も見えなくなって、僕はいつの間にか「外」に出されていた。
——嗚呼、半端なものはあそこにいてはいけないのか。
なら僕は、「完全」になろうか。
黒い翼は在ってはならない。白い影も存在してはいけないなら、僕は僕自身が神になればいいんだ。
そうして僕は、飛べない翼で飛び降りた。
———(幸福?そんなモノ「僕」はいらない)
(「僕」が欲しいのは——
「完全」だけ。)
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