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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 戦場には死しか残されず… ( No.2 )
- 日時: 2010/03/01 17:37
- 名前: 牙 ◆CJat/Z2hH6 (ID: NWU2GU14)
家を出て、すぐに俺たちは走った…。
家のほうから、怒鳴り声が聞こえても、悲鳴が聞こえても、銃声が聞こえてもただひたすら走った。
「ここまでくればもう良いよね…。
レオン、これからどうしたい?」
姉ちゃんが笑顔で俺に聞いた。不安を必死に抑えて作っている笑顔だったいうのがすぐに分かった。
俺はその時思った。
あの銃声で、父さん達が死んだ。
あの銃声は、姉ちゃんを追う人たちが銃を撃ったから。
姉ちゃんさえ居なかったら、父さん達は死んでいなかったんだと。
今にしてみれば俺は最低な事をしてしまったと思える。
でも当時の俺は、そうとしか考えることができなかった。
「…くれ。」
「レオン、何?何言ってるのか聞き取れないよ?」
「俺とユウリのから離れてくれ。」
「えっ!?…」
「ユウリと俺の前に二度と現れんなっ!!
お前のせいで父さん達は死んだ。
ユウリにそんな目に会わせたくない!」
「…。
分かった…。
レオンに言われちゃったかぁ…。
そのつもりだったんだけどね…。
ユウリのこと頼むよ?
レオンはしっかりしてるから心配しなくても良いよね?」
姉ちゃんは泣きながら言った。
そして闇の中へ消えていった。
俺は寝ているユウリを背中に背負って歩いた。
俺は歩きながら泣いた。
俺は馬鹿だ…そう思った。
歩いて何時間経ったのか分からないが、町が見えた。初めて来た町だった。
町の入り口で突っ立っている俺の方に誰かが手をおいた。
俺は後ろを振り返る。
「君達、親は?」
後ろにいた男が言った。
これが、ルノ様との出会いだった。
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