ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 熱血教師ト死神様 ( No.3 )
日時: 2010/03/09 15:36
名前: 海鼠 (ID: HiDlQ61b)

第弐話   再会

俺が乗っている、『琶砂神行き』の電車には
俺以外誰も乗っていなかった。
窓から見える景色は、ただ一面に竹林があるだけ。
街らしきものが見えない。


それにしても、どうして俺は
学校を異動しないければいけなかったんだ?

坂出中にはまだ3年しかいなかったし、
その学校でヘマした覚えもない。…それなのに。

『高橋先生じゃないとだめなんです。』

坂出中の校長はそれだけしか言ってなかった。


電車は、静かに琶砂神駅につく。
やはり駅にも人気はない。

電車から降りると、湿っぽい空気が俺の体を包む。
まだ4月だというのに、じめじめとしている。
そういう所にいるとイライラしてしょうがない。

駅を見回すと、眼の前に階段があるだけだった。
椅子とか自動販売機もなく、ただ階段があるだけ。

駅を間違えた?そんな不安でいっぱいになる。
だが俺は構わず階段を上る。イライラしてるから。

階段にはお札のようなものが剥された跡がある。
一枚だけ破れかけのお札があった。
それには字が書かれているが難しくて読めない。
俺はそれをポケットに入れ、階段を上り始める。

新しい学校の風景が眼に映る。新鮮な気持ちより、
案外早く着いた驚きの方が強かった。

最後の一段を上りきってすぐ衝撃が俺にぶつかる。

「あっ」

『ヤバい』みたいな顔で俺を見る。
この子…どこかで…。

不意にあの時の冷淡な声がよみがえる。

『サヨナラ、多分もう逢えないから。』

「……北条?」

彼女は一瞬驚いた顔をした。
だがすぐに怖い顔に戻る。

「だから、どうした!
 用がないなら、もう行くぞ!」

北条は冷たい言葉を投げ捨て、
どこかに走ってしまった。

俺はそれを止める事が出来なかった自分に
腹が立ってしょうがなかった。

「あの、…高橋先生ですか?」

後ろには、横ポニの男の子がいた。
タキシードを着ていて、
ドラマでよく見る『執事』のようだ。

「お待ちしてました、中にお入りください」

目の前にある大きな校門が
ゆっくり開き始める。

 
       ○

      ・・ 
なんでここに高彦が…。頭が混乱してしまう。
こんな『再会』なんてあり得ない。
どうすればいいのか分かんない。

胸のドキドキが止まらない。

…とにかく気にしないでおけばいい。
あいつが私の予想通りココの先生になるとしても。
気にしなければいい。どうでもいい。

だってあいつに『サヨナラ』したんだもの。
私とあいつの縁なんてとっくのとうに切れた。