ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 熱血教師ト死神様 ( No.21 )
日時: 2010/07/17 10:28
名前: 海鼠 (ID: HiDlQ61b)

第拾四話 薔薇

    ○ 

「…くっ」

氷柱のささった手のひらを見つめる。
溶けてゆく氷の水と血が濁っている。

「あはは!さっきの威勢の良さは!?」

奴は倒れた俺にジリジリと近づいてくる。
こんなつもりじゃなかった…。

「ぉまえ…凜をどうするつもりだ…」

「凜…。あぁ、あのグズな妹ね。
 知りたいのなら、大人しくそこを通してよ。」

弱った俺に何かしてくる…、と思いきや
そっぽを向いて向こうへ麟は歩き続けた。

すかさず俺は麟の右足首をつかんだ。
麟の靴が、俺の血で赤く染まってゆく。

「そんな汚い手で触るな!!」

俺は胸倉を掴まれた。
そのまま窓に向かって、投げ捨てられた。

…ガラスが太陽の光にかがやいて、綺麗だ。

あお向けに倒れた俺に、
氷柱をもった麟がのしかかる。

「どうしてお前はあの妹ばかり味方する?
 知っているだろう!わが後藤家の掟を!!」

俺は、散らばっているガラスの破片を
手一杯に握った。勿論、これも血でにじむ。

「掟ェ…?俺がそん…なもの守るよぉな
 いい子…とでも思っ…たかぁ……?」

麟は一瞬驚いた顔になったが、
すぐに大声で笑い始めた。

「ははははははは!違いないよ!
 あんた最高!殺すのにはもったいない!だから、」

笑い声がピタリとやんだ。
麟の手が俺の顔に覆いかぶさる。

「半殺しにさせてもらう。」

薔薇のように赤く染まったガラスは、
俺の手から抜けて行った。