ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 熱血教師ト死神様 ( No.23 )
- 日時: 2010/08/01 11:43
- 名前: 海鼠 (ID: HiDlQ61b)
第拾六話 よそ者
○
凜ちゃんの病室には入れたけど…。
とても私の口からは言えない。
純は、凜ちゃんのお兄ちゃんは、
血だらけで倒れていて今危険な状態だってこと…。
私は、凜ちゃんは自分の病気の回復に
専念してほしいと思う。それはきっと、純も同じ。
悪いけど、純の事については
凜ちゃんには言わないでおこうと皆に約束した。
—…一人を除いて、皆に。
「北条!」
噂をすれば影、だ。
『よそ者』が私を呼んでいる。
「あのさ、さっき、…純がヤバいって…」
息を切らしながら、彼は言う。
「五十嵐さんに聞いて…なんか北条知って…」
「しらない。」
私はそっぽを向いた。
高橋の息が静かになる。
「…知ってても、教えない。」
「…どうして。」
「前にも言ったでしょう!?
アンタはよそ者、関係ない人間!」
それでも私は、そっぽを向いたままだった。
目を合わせずに怒鳴っている私。馬鹿みたい。
「お前、私たちがどんな生物かわかってる?
世間からも国からも認められていない人間!
欲しくもない特殊能力を授かった人間!
人間とは共存してはいけない『神の後継者』!」
彼は唖然とした顔で、私を見てる。
そんな彼に私は背を向けた。
「…そしてお前は、ただの人間。
言ったはずよ、もう関わらないで。
特に私には…『死神の後継者』には。」
「でも、俺は!」
私は退かなかった。
「私は死神様の後継者…。
お前を殺すなんて容易いことだ。」
あの時、私が行った言葉を
もう一度彼に浴びせた。
—…お願いだから、分かって。
「…俺は教師だ。で、北条たちは生徒。」
目を閉じて、聞いていない振りをする。
「教師と生徒。関わっていかないといけないだろ。」
私は黙った。やっぱり、こいつ、分かってない。
「お前が死神だろうが何だろうが、
ゼッテーびびらねぇって、約束するから。」
「信用できるか。」
「信用してもらえるように頑張るから。約束だ。」
「お前の約束は、全部信用できない。」
つくづく思う。私ってまだまだ子供。
それに付き合ってくれるこの人は、立派な大人。
だから、お前は遠い存在な気がして。
なんだか怖い。