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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 熱血教師ト死神様 ( No.26 )
- 日時: 2010/08/04 12:27
- 名前: 海鼠 (ID: HiDlQ61b)
第拾九話
教室の中に響くのは、時計の音だけ。
誰もしゃべらないし、喋ろうとしない。
そんな空気の中でも、
お構いなしでしゃべってくる『アイツ』がいた。
「…なんか、あったらしいな…。
五十嵐さんから聞いたんだけど…。
純の妹さんの事について…誘拐だっけ…。」
またそうやって首突っ込んで…。
何もできないくせに。
「授業進めろよ。今ソレ関係ねぇダろ。」
純はいらだった顔で、ため息交じりにそう言った。
「…ていうか、お前にも関係ねぇ。
今回起こった事件は、俺一人でなんとかする。」
最初はその言葉に私は何も動じなかったけど、
よくよく考えると、おかしかった。
「一人でって…どう言う事?
そんな傷で、一人で解決しようと思ってるの!?」
机の上に足をかけて、純はうなずいた。
「何バカなこと言って…」
「うるせぇ!
これは俺の家庭内であった出来事だ!
第三者が首突っ込む事じゃねぇんだよ!
関係ねぇ奴は引っ込んでろ!」
「関係ないって言ったって…」
ハッとした。
あの時。私があいつにおんなじような事を言った時。
あいつもきっと、今私が思っている事と思ってた。
『関係ない』と言われると、
その人が心配で心配でしょうがなくなる。
どんなに危険でも、その人を助けたくなる。
私は、あの時、あいつに凄い迷惑かけたな。
それなのにあんなに酷いこと言って…。
私の思考回路はぐるぐる回っている。
「…何喋ってる途中で、黙ってんだよ。」
純の冷たい一言で、私は我に戻った。
「し…しんぱいだから…」
さっきまで快調に回っていた思考回路も
どうやらココまでのようだ。
チャイムの音と同時に、純は教室を後にした。
それを春は追いかける。
教室に残ったのは、私とあいつだけ。
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