ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜FALL〜5話更新♪ ( No.10 )
- 日時: 2010/03/16 16:29
- 名前: 麻里子 (ID: EWcIN/Ij)
Episode1-6 【悪夢の連鎖】
翌日
全員が浜辺で寝ている中、アキラが最初に目を覚ました。
アキラは周りを見渡すとため息をつく。
「夢じゃない・・・か・・・・・」
アキラは立ち上がり、海に近づく。
島はない。船や飛行機も相変わらず通らない。
「大丈夫か?」
アキラの後ろから柿本が声をかける。
「はい。柿本さんは大丈夫ですか?」
「俺は大丈夫だが、彼女がな・・・」
アキラはその言葉を聞くと、柿本の表情も覗いた。
柿本は悲しそうな顔を見せる。
「君らは合宿か何か?」
「俺らは学校の行事でアメリカに。」
「へ〜ぇ。」
柿本はそう言うと、笑顔でアキラを見る。
「とりあえず、今日は島を探索しよう。」
「分かりました。」
**********
コックピットで一晩を過ごした宗助と古谷はすでに起きていた。
「とりあえず、救助が来るまでほかの生存者を捜そう。」
「どこを探しますか?闇雲に探しても意味ないし。」
宗助が言うと、古谷は辺りを見渡した。
「川を見つけて、川に沿っていけば海に出るだろう。」
古谷が森の中に指さしながら言った。
古谷の指さす方向には川が流れている。
「なるほど・・・」
「行こうか。」
二人は川に沿って歩き始めた。
「しかし、なんで飛行機は墜落したんですかね?」
「それが問題なんだよ。天候も機体にも異常はなかった。原因が不明なのだよ。」
古谷はため息をついて過去を振り返る。
「こんな風に墜落するケースって初めてですか?」
「いや、初めてではない。」
古谷はそう言うと、川の傍でしゃがみ込み話を続けた。
「君らが生まれる前かな、20年前にある事故が起きた。」
「ある事故?」
「あぁ」
‘日航ジャンボ機墜落事故’
宗助は初めて聞く言葉に首を傾げた。
宗助は古谷の隣に座り真剣に話を聞き始める。
「私は当時、この飛行機の乗客として乗った。乗客は乗務員等を合わせて520名。墜落後生き残ったのは4名だ。」
「え!?」
宗助はその数字に愕然とした。
「4名のうち一人は私だ。後にこの4人は‘FALL・4’と呼ばれる存在になった。意味は‘落ちた4人’。そして肝心の墜落理由は、気圧だ。」
「・・・・気圧。」
宗助は復唱する。
「気圧は当時の管制塔では詳しく解析することができず、数年後に気圧で墜落したことが判明した。気圧のせいで機体が歪み、エンジンは両方とも破損。空港からの距離3キロメートルのところで墜落した。墜落した場所は空港の手前にある広い敷地だった。幸い、周りはそこまで被害はなかったが、機体は大破。私を含む4人は自力で燃え上がる機体から逃げ出した。」
古谷は立ち上がると、再び歩き始めた。
宗助も立ち上がり話聞き続ける。
「逃げた直後に機体は大爆発。520名の命が奪われた。私はその日から、飛行機に乗ることがトラウマになり、見るだけで怖さがよみがえる。」
「え?でも、なんで操縦士に?」
「克服するためだ。自分の弱さにな。」
古谷はため息をつきながら言った。
宗助には古谷のため息の意味が分からない。
「弱さを克服したはずだったのに、また、繰り返してしまった。墜落事故など・・・・。なんで連鎖するのだ?」
古谷は宗助の顔を見た。
「そう言えば、名前は?」
「俺は宮木宗助。あなたは・・」
「古谷陣だ。知っての通り機長をしていた。」
古谷は笑顔で言う。
「さぁ、海岸までもう少しだ。行くぞ。」
「はい!!」
宗助は元気よく返事をすると、古谷の後を追った。
しかし、2人はこの時ある間違いに気付いていなかった。
***********
山のふもとから浜辺へ
太陽は水平線の向こうから顔を出し始めていた。
アンは浜辺にうつ伏せになって寝ていた。
「・・・おい。大丈夫か?」
「・・・はっ!!!」
アンは飛び起き銃を構えた。
アンの目の前にスーツを着た男が立っている。
「ちょ、ちょ、ちょっと!!!ストップ!!!」
「生存者か?」
「そうだよ。あんたも?」
「あぁ。アンソニー・ラヴロックだ。」
アンは男と握手をする。
「俺は影野隼人。・・・ハッカーだ。」
影野の言葉にアンが笑う。
「何がおかしい?・・・ってまさか・・・・」
影野はアンの持っている銃を見て苦笑いした。
「俺はFBIだ。まぁ、今の聞いてないことにしておく。」
「あ、ありがとう・・・」
影野はホッとした表情を見せる。
「とりあえず、浜辺に沿って向こう行こうぜ。」
影野とアンは浜辺に沿って歩き始めた。