ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 〜FALL〜 ( No.2 )
日時: 2010/03/16 20:54
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

Episode1-2 【離陸5時間後の悲劇】

墜落から1時間前。
第1高校とその他乗客を乗せたJAL国際便は早朝9時に離陸した。
アキラは離陸後、隣に座っていた親友の宮木宗助と話し始めた。
アキラの目の前はコックピットで、小窓から操縦光景が覗ける。
天候も良く、機内は盛り上がっていた。
「アキラ、お前恵美のことが好きなの?」
「は!?」
アキラは宗助の言葉に驚く。
「別に好きじゃないし。」
「俺ら小学のころから一緒だけど、恋愛に関しては何も知らないよな〜ぁ。」
宗助は窓から外を見ながら言う。
「別にいいんじゃない。」
アキラが苦笑いしながら言う。
「もうシートベルト外していいかな?」
「大丈夫じゃないの。ベルトのライト消えてるし。」
アキラは周りを見ながら言った。
恵美はアキラとは正反対の通路を二つ挟んだ窓側の席にいた。
「にしても、アメリカに行けるなんて・・・」
アキラがつぶやいたその時だった。

「お客様!席にお着きください!!」

後ろからスチュワーデスの声が聞こえる。
全員は後ろを振り向いた。
一人の男がトイレに閉じこもったらしい。
スチュワーデスはドアを懸命に叩き叫んでいる。
その時だった。

ガタ!!ガタ!!ガタ!!ガタ!!

飛行機が突如大きく揺れ始める。
「な、なに!?」
宗助は慌ててシートベルトをつけようとする。
アキラは窓から外を見る。
飛行機の高度が一気に落ちている。
ガタン!!
「うっ!!!」
大きな揺れのせいで、荷物置き場からアタッシュケースが落下。
ケースがアキラの頭にぶつかり、アキラは気絶した。
「お、おい!!アキラ!!う、うわああああああ!!!!」
アキラが気絶したと同時に、轟音とともにコックピットが全員の目の前から消えた。
いや、空中分解した。
「ぎゃあああああああ!!!!!」
機長と副機長と思われる人物が宗助の目の前で空を舞いながら雲の中へと消えた。
「な、なんだよ!?これ!!!」
荷物や飛行機の部品が次々に空へ放り出される。
「いやぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」
宗助が呆然としていると、1ー1の生徒の川本里香が座席ごと空へ放り出された。
宗助は突然の出来事に唖然とし、悲鳴をあげている。
その時、宗助の視界が180度回転した。
機体は二つに裂け、その内の一つが反転したのだ。
もう一方の機体は空中で爆発を起こし、空に乗客や部品、まだ動いているエンジンが空を舞っている。
その中に、担任の国沢の姿がチラリと見えた。
宗助は国沢の姿を目で追う。
すると、国沢の身体は回転しているエンジンの中へと引き込まれた。
エンジンに国沢の体が引き込まれたと同時に、エンジンは炎をあげて爆発を起こした。
「うっ!!」
宗助は目をつぶり、ゆっくりと目を開いた。
宗助の目の前に一瞬だけ小さな島が見えた。
「そんな・・・・」
そして、JAL国際便アメリカ行きの飛行機は墜落したのだった。