ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜FALL〜一度見てください♪ ( No.7 )
- 日時: 2010/03/15 15:39
- 名前: 麻里子 (ID: EWcIN/Ij)
Episode1-3 【困惑する者たち】
砂浜に突き刺さった右翼。
いまだに動いているエンジン音が恐怖を感じさせる。
荷物は浜辺に散乱。
「そこの坊主!!手伝ってくれ!!」
アキラは恵美を慰め、柿本太一のもとへ駆け寄る。
柿本は足から血を流している。
柿本は飛行機の部品の下敷きとなった岩山浩太を助けようとしていた。
「手伝ってくれ。ビクともしない!!」
「分かった。」
アキラ、恵美、柿本は一気に残骸を持ち上げる。
その間に浩太は隙間から残骸の下から抜け出した。
「あ、ありがとう!!」
「それより、これはひどいな・・・」
アキラ達は改めて周りを見渡す。
すると、恵美があることに気付いた。
「そういえばさ、残骸から見てコックピットともう半分の機体はどこに落ちたんだろう?」
「確かにそうだな。」
「それより、いまはみんなを助けるぞ!!」
柿本の言葉で、4人は再び救助活動を開始した。
**********
アキラ達のいる浜辺から西へ7キロへ
アキラ達が言うもう半分機体は森の中に落ちていた。
宗助は座席ごと地面に放り出されており、静かに目を開けた。
「ここは・・・・」
「大丈夫か?」
宗助の目の前に見覚えのある人物が現れた。
宗助はその人物の顔を見ると愕然とした。
確か、あの時空へ放り出された機長の姿だ。
「なんで・・・生きてるんですか・・・?」
「奇跡だよ。木がクッションとなった。」
機長の古谷陣は宗助のシートベルトをはずす。
宗助は立ち上がると、森の中を見渡した。
「ほかの人は?」
「あいにくだが、この場にはコックピットの残骸しかない。君は偶然ここに落ちたんだ。」
「ここはどこです?」
宗助の言葉に古谷は悩む。
古谷はバラバラになった操縦席に向かい、操縦席にある地図を出す。
宗助は古谷に近づいた。
「我々は太平洋上空を飛行していた。落ちたとしたら、たぶんまだ日本側の近い場所か。運が悪ければ太平洋のど真ん中。」
「は!?そんな!!」
「無線が使えるか試してみよう。」
古谷は地面に落ちていた無線を拾うと電源を入れた。
「こちら、JAL国際便アメリカ行き飛行機機長の古谷。聞こえますか?」
ガーーーーー・・・・・ピッ
古谷の応答に無線がつながった。
宗助はガッツポーズを見せる。
「こちら管制塔。古谷先輩、私です。」
「おぉ。後藤か?」
「はい。どうしました?」
古谷は周りを見渡しながら話し始めた。
「今は君一人か?」
「えぇ。もう夜中の3時ですし、私も帰るつもりです。」
「そうか。落ち着いて聞いてくれ。」
古谷の言葉で後藤の呼吸音が無線越しで聞こえる。
「成田空港を離陸して約6時間後、飛行機が墜落した。」
「え!?」
後藤は古谷の言葉に驚く。
「場所は不明。墜落原因も不明。生存者も不明。大至急救助を頼みたい。」
「そ、そんな・・・。いまからここに全員が集まって救助を向かわせるにしても場所がわからないんじゃ・・・・。」
「大体、何時間後には来れる?」
古谷の言葉に、宗助の心臓を動きが速くなる。
「早くても、丸4日、いや、1週間・・・。」
「そんなにかかんの!?」
宗助が叫ぶ。
「場所が分からないのではそれくらいはかかります。それに・・・・・」
ガ、ガ、ピーーーーーーーーー
後藤は何かを言おうとしたが、それと同時に無線が途絶えた。
「くそっ。落ちた時にどこかでぶつけて壊れてやがる。」
古谷は無線を地面にたたきつけ、宗助を見る。
「とりあえず、ここらを捜索するぞ。」
「は、はい!!」
二人はどこかも分からずに、森の中に足を進めた。
**********
古谷と宗助の場所から更に北へ4キロへ
アキラ達とは違う浜辺にいる横山桃香は目の前に広がる光景に呆然としていた。
副機長の馬場義光が岩場にたたきつけられ死んでいた。
手や足を変な方向に曲がり、血が岩に染みついている。
横山はその場に倒れ、霞む視界に何かをとらえた。
自分のすぐ横の地面に何か埋まっている。
横山は倒れたまま手を伸ばし、土を手で払う。
すると、木でできた看板が出てきた。
その木には赤い文字で英語が書かれてある。
「無人島・・・オール・・・・・ディ・・・」
横山はそうつぶやくと気絶した。