ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 〜FALL〜一度見てください♪ ( No.8 )
日時: 2010/03/15 21:18
名前: 麻里子 (ID: EWcIN/Ij)

Episode1-4 【無人島‘オールディ’】

救助活動を続けて1時間

アキラ、恵美、浩太、柿本は地面に座って休んでいた。
「大体ここだけで何人?」
「14人だ。全然いない。ほかの乗客はどこかに落ちたんだろう。」
柿本がため息をつきながら言った。
恵美は柿本の表情を見て首を傾げる。
「一人で、アメリカに?」
「いや。彼女の仕事の都合だったんだが、彼女はここにいなかった。」
柿本は立ち上がり、周りを見渡す。
「それより、救助が来るまでどうする?」
「こういう時ってさ、火が必要じゃないの?」
「俺が燃えそうな物持ってきます。」
「私も行く。」
「お、おれも!!」
浩太、アキラ、恵美は森の中へと薪を探しに行った。

**********

浜辺から500メートル地点 山のふもと

座席に座ったまま気絶していたアンソニー・ラヴロックはようやく目を覚ました。
アンは急いでシートベルトをはずし、辺りを見渡す。
「墜落したのか・・・。俺が生きてるのなら、あいつも生きてるはずだ・・・・」
アンは腰から銃を取り出し、周りに注意しながら拳銃を構えて歩き出す。
「必ず捕まえてアメリカに送ってやる。」
アンはそう言うと、浜辺の方へ向かって歩いた。

**********

森の中を進む3人は、薪を持ちながら浜辺へ引き返そうとしていた。
その時だった。
「本城君、あれ!!」
恵美が指さす方向に、一人の男性が頭から血を流して倒れていた。
3人は慌てて駆け寄り、男性に声をかける。
「大丈夫ですか!?」
「うっ・・・・ぐっ・・・・」
男性は頭を押さえながら起きた。
男性は目の前に広がる森林に唖然としていた。
「墜落したのか?」
「はい。それより、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。」
「・・・・・あれ?」
浩太が突然男性の顔を見て首を傾げた。
男性は浩太の表情を見て一瞬驚く。
「な、なにか?」
「いや。どこかで会ったような気が・・・」
「どこにでもある顔ですよ。それより、ほかに生き残りは?」
男性は立ち上がりながら3人に聞く。
その質問にはアキラが答えた。
「生き残りは浜辺の方にいるよ。一緒に行こう。」
アキラを先頭に、4人は浜辺へと歩き始めた。
「ところで、お名前は?」
恵美が男性に聞く。
「俺は・・・柿本だ。」
「え?」
男性の答えに3人の足が止まった。
「柿本って、浜辺にいる人の名前じゃ・・・」
浩太が言ったその時。

「くそが!!!」

男性は浩太を突き飛ばして森の中へと姿を消した。
「岩山君!!」
恵美が倒れた浩太に駆け寄る。
「な、なんだよあの人・・・・」
3人は男性が消えた方向を見て不思議に思った。

**********

3人が浜辺に着くと、11人の乗客が3人の帰りを待っていた。
「おかえり。薪はあったかい?」
柿本が笑顔で歩み寄る。
「はい。これだけあれば。」
「よし、浜辺でたき火をして今後のことを話し合おう。」
柿本の指示通り、14人は浜辺でたき火を始めた。

たき火を始めて5分後

14人はたき火を囲むように円状に座り、今後のことについて話し始めた。
「まずは、今後のことについてどうする?」
柿本が進行を始めたその時だった。
「ちょっと!!なんであなたが仕切るのよ!!」
アキラは真正面に座る女子生徒を見てため息をついた。
自己中心的な澤本玲奈は柿本に怒鳴る。
柿本は年下に怒鳴られどう対応すればいいのか分からない。
「黙ってろよ。」
隣に座っていた雰囲気が暗い山本ルカがつぶやいた。
その言葉は玲奈に届いていた。
「何よ?あなたは見知らぬ人の命令を聞くとでも・・・」

「黙れ。」

澤本の隣に座っていたスーツを着た男が物凄い形相でつぶやいた。
玲奈は男の表情を見て驚き、渋々黙り込んだ。
「・・・え〜っと。それじゃあ、これからどうするか話し合おう。」
「救助が来るから大丈夫なんじゃない?」
「それはないな。」
柿本の隣に座る体つきの良い男が言った。
全員は口をあけてポカンとした。
柿本が冷静に動いた。
「あなたは・・・」
「俺は飛行機の荷物置き場で働いている近藤一だ。飛行機には何も異常はなかったんだ。この飛行機に原因がある時は真っ先に荷物置き場にいる俺らに連絡が来るはずだ。その連絡は管制塔にも同時につながる連絡だ。だが、飛行機自体の原因はなかった。連絡もしてない。つまり、空港の方は墜落したことに気づいてもいない。」
近藤の言葉に全員は愕然とした。
「はぁ!?何それ!?」
玲奈が絶望の顔を見せる。
ほかの12人もその言葉に愕然としていた。
救助が来る以前に、墜落したこと自体に向こうが気づいていない。
そうなると、問題が違う方向に進む。
「近藤さん、救助がここに来る確率は?」
柿本が近藤に聞く。
「向こうが墜落場所を知らなければ、救助が来る確率は0%。だが、もしこの島の近くを船や飛行機が通れば30%には上がる。」
柿本はその答えに浜辺から海を見渡す。
しかし、海には船が一隻もない。
空に至っては雲ひとつない青い空だ
「うそでしょ・・・・」
浩太と恵美が愕然とした表情でつぶやいた。
「救助を待つより、この島で生き残ることを考えた方がいいな。」
近藤が全員に言う。
「来ない救助を待っても意味がない。まずは生き残る方法を見つけるぞ。」
アキラはその言葉を聞いて呆然としていた。

「・・・・どうなんの?高校生活・・・」