ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 〜FALL〜4話更新♪ ( No.9 )
日時: 2010/03/15 21:40
名前: 麻里子 (ID: EWcIN/Ij)

Episode1-5 【謎の人物 零堂駿治】

離陸したJAL国際便機内 墜落1時間前

コックピットから10席後ろに行った座席に柿本は座っていた。
柿本の隣には彼女の真鍋晴香が座っている。
「晴香、アメリカに着いたら・・・その・・・」
「な〜に〜よ〜ぉ。」
「結婚してくれ。」
柿本はポケットから指輪を出しながら言った。
晴香は顔を赤らめて何も言わずに首を縦に振った。
「マジで!?」
「いいよ。」
柿本はついガッツポーズをしてしまった。

「ご結婚おめでとうです。」

通路を挟んで座る男に柿本と晴香は言われた。
「聞こえましたか?」
「えぇ。すいませんね。」
「い、いえ。お名前は?」
男は笑顔で柿本に答えた。
「私は、零堂駿治。あなたは?」
「柿本です。こっちは・・・妻の晴香。」
晴香は照れながら零堂にお辞儀をした。
零堂も笑顔でお辞儀をする。
「さて、そろそろか。」
零堂はそうつぶやくと席を立った。
その時だった。
「お客様!お席にお着きください!!」
零堂に肩をぶつけ、柿本が座る席の後ろにあるトイレに男性が駆け込んだ。
スチュワーデスは追いつくと、ドアを必死に叩き叫んでいる。
「なんだ?」
柿本や晴香、周りの乗客が後ろを振り向いた。
その時だった。

ガタ!!ガタ!!ガタ!!ガタ!!

飛行機が突如大きく揺れ始める。
「きゃああああーーーーーー!!!!!!!」
晴香が座る窓側の席の壁に大きな穴がポッカリと開く。
荷物や叫んでいたスチュワーデスは外へと舞いながら雲の中へ消えた。
「晴香ぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
柿本はシートベルトで身動きがとれず、晴香は座席ごと外へ放り出された。
「ぐわっ!!!」
席を立っていた零堂もあっという間に外へ放り出された。
「晴香!!!零堂さん!!!!」

空中で舞う零堂は必死で周りを見渡す。
体が回転しながら落ちており、どこが上で下かも認識できない。
だが、零堂の視界にあるものが飛び込んできた。
座席に座ったまま気絶している晴香が空中を彷徨っている。
「晴香さん!!!」
零堂が叫んだその時だった。
飛行機が真っ二つに裂け、零堂の近くに動いているエンジンが迫ってくる。
「う!!うわああああああ!!!!!!」
零堂が叫んだと同時に、エンジンに男性が引き込まれ目の前で爆発した。
「うぐっ!!」
そして、零堂はそのまま空中で気を失った。

**********

森林を駆ける零堂は何かから逃げていた。
子供に嘘をついたのが凶と出たようだ。
「まさか、こんなことになるとは・・・・」
零堂はアキラ達とは違う浜辺に出ると、腰をおろして息を整える。
「柿本さんに晴香さん・・・・大丈夫だろうか・・・」
零堂はつぶやくと、水平線の向こうに太陽が沈みかけていた。
「しかし、墜落の原因はなんだろうな・・・。機体には異常なかった雰囲気だったし、天候も良かった。」
零堂は首を傾げると、その場を立ち上がり周りを見渡す。
持っている物はライターとタバコに名刺。
零堂は胸ポケットから一枚の名刺を取り出す。

‘アメリカ ボーダー社製品作成部門部長’

そう書かれた名刺を見て零堂はため息をつく。
「俺の人生は結局、ダメということか・・・」

**********

日は完全に沈み、浜辺にいる14人は睡眠をとっていた。
残っている座席をたき火を囲むように並べて寝ている。
不思議な光景だが、これが一番安心する寝方だ。
全員が寝ている中、柿本だけが目を開けて起きていた。
「晴香・・・必ず探し出してやるから・・・・。零堂さんも生きていてくれよ・・・・・」
柿本はそうつぶやくと、静かに目を閉じた。

無人島‘オールディ’サバイバル生活スタート

1日目終了______