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Re: ヴァンパイアと少女カオル ( No.4 )
日時: 2010/03/14 19:49
名前: 夢猫日和 ◆PxAOHU.zVE (ID: aYwQGfB6)

第三章

ヒカリと一緒に家に帰った。ヒカリは、さっさと自分の部屋に戻り、鍵を閉めた。ヒカリと私の部屋は一緒なので、居候者が泊まっている部屋に向かった。私は、ノックした。
「悠人兄ちゃん、入るよ」
返事は無いので、私は勝手に入った。悠人兄ちゃんが布団で寝ていた。私は、どうしたものかと思い、悠人兄ちゃんの方に寄った。

「悠人兄ちゃん、どうした?」
「幽霊を見てしまった…」
「はぁ?」
「幽霊を、久しぶりに見てしまった… 悪霊だった。しかも、この部屋に住み着いてしまったから… 悪霊退散したら、呪われた…」

「幽霊なんて、居る訳無いでしょ! それに、ただの風邪でしょ?」
私は、そう言い残し体温計を持ってきた。
「はい。悠人兄ちゃん。あんた、浪人生でしょ?」
「はい。浪人生になり、三年がたちました。今年も…」
「呑気に、挨拶をしないで! 健康管理がだめじゃない! あーもう。両親が生き返ってくれないかな?」
「生き返れるんじゃない? 親父は?」
「はー、何言うの?」
私は、体温計を悠人兄ちゃんの脇に挟んだ。そして急いで、タオルに水を濡らし、悠人兄ちゃんのおでこにおいた。丁度、体温計が鳴ったので私は体温計を見た。

「…40度ぴったり。もー」
私は、ヒカリを呼び出した。
「悠人兄ちゃんが、40度ぴったりの風邪だから、手伝って…」
ガチャリと鍵を開けた。そして、ヒカリが出てきた。
「カオルは、看護が苦手だから。はい、タッチ交代」
ヒカリは、そのまま悠人兄ちゃんが居候して部屋に行き、私は、ヒカリと共有の部屋に入った。そしたら、何分か前に会った、ヴァンパイアが居た。共有の部屋の鍵をしめた。

「何か、用?」
「いや、別にね。君には、縁がありそうと思ってね」
「ないと思います。早く、帰ってください」
「良いのかな? 君のお母さんの血を吸うけど… だって、君のお母さんの血は美味しいからね。君より…」
「は、早く帰ってください」
私は、ヒカリに聞こえない様に気をつけた。
「カオルー 大変!」
ヒカリが、叫んでいる。私は、ブレースだっけ? ブレースと言うヴァンパイアを無視して、ヒカリの方に向かった。

「どうしたの?」
「悠人兄ちゃんが、悠人兄ちゃんが…」
「何々?」
私は、悠人兄ちゃんを見た。別に何とも無かった。
「どうしたの? 何も無いけど」
「何も無い訳無いでしょ… だって… 枕元に変な人が…」
私は、枕元をじっと見てみた。確かに、人はいる。
「あー いるねー。それが、どうしたの?」
「何、呑気… それより、やばい…」
ヒカリは指を指した。私は、その方向を見た。その人は、悪霊だった。
「ヒカリ… やばい。悠人兄ちゃんが、下手したら死ぬよ… あいつは悪霊だよ」
「あ、悪霊!」
「霊感がない。ヒカリが見えたほど、霊力が強いわ、どうも出来ないわ」
「助けてあげようか? カオル」

「助けてあげようか? カオル… ですって」
私は、後ろ向いた。やっぱり、ブレースというヴァンパイアだった。
「助けてあげる代わりにさ。俺のパートナーになってくれないか? 半年契約だけど…」
「はぁ?」
「カオルには、強い霊力があるから。俺の源になるから」
「あー はいはい。お断りですよ。何回も、あんたみたいなヴァンパイアに、頼まれたけど… 断ったこと知っている?」
「知っているよ。これで、十三回だから… もう、断れないよ」
知っている。まさか、こんな奴とは思わなかった。

「…ねぇ。カオル。誰に向かった話しているの?」
私は、ヒカリに答えられなかった。でも…
「おい。カオル、悪霊がヒカリに霊力を上げようとしている」
「や、ばい。ブレースだっけ? パートナーになって良いけど… 助けてよ。悪霊と悠人兄ちゃんを」
「分かってくれたか…」
ブレースは、悪霊の方に向かった。


続く