ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─空想世界─  ( No.4 )
日時: 2010/03/12 22:18
名前: 羽鳥 (ID: p8.Ij.U2)

「───これでオシマイよ、新撰組の話は」

桜花の歴史話は終わった。 竜堂は楽しそうな表情で聞いていた。
では、帰りましょうか。

「面白かったよ、夏目の話。 また、してくれよ」
「本当? 嬉しいっ。 時間があったら、また、ね」
「じゃ、桜花。 わたしたちは帰ろうよ」

「そうね」
桜花がそう言って、三人同時に席を立った瞬間だった。
ぴんとした、冷たい空気が流れてきた。 不気味で、気持ち悪い空気。

「なんか、気持ち悪くないか。 この、空気・・・・・・」
「何かしらね、少し不気味だわ」
「まさか、幽霊とか出ちゃうのかなぁ・・・・・・?!」
「乙宮、そういうの苦手なんだ?」
「五月蝿いっ! 黙ってぇえっ」

それでも竜堂はケラケラと笑っている。 もう、やめてよぉ。

『君のだぁいすきな、世界に行ってみないか?』
突然、そんな声が聞こえてきた。 少年の声だ。
三人は驚いて、まわりを見回すが誰もいない。

『気に入らないなら、壊してしまえばいいんだよ』
次に聞こえてきたのは、少女の声。
この声もどこからするのか、分からない。

「だッ、誰だよ?! 誰かいるのかよ?!」

───クスクスクスクス、クスクスクスクス、クスクス!
まるでわたしたちをあざ笑っているかのような、笑い声。
さらに不気味になってきて、キョロキョロと人を探す。

『例えば、昔の世界。 江戸時代はどうかなぁ?』
その呼びかけに、桜花はピクンと反応する。

『気になるねぇ、気になるねぇ?!』
『仲良く三人で行ってみたらどうかな・・・・・・?』
『気に入らないなら、あたしが壊すから大丈夫』

「本当に誰なんだよッ?!」