ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 紅花と光空  [01(途)up] ( No.10 )
日時: 2010/03/19 17:04
名前: 迷鎖 ◆eVKFdGz9q2 (ID: xYJBB/ey)

 私の目の前に居るのは、黒い羽の生えた少女。
 
 「あんた、誰……」
「わし、わしか? 名は蝶子と申す。お前は……」
「中村千紅……だけど」
私が驚き、問いかけると、その少女は、蝶子と名を名乗った。そして、少女は不思議そうに私を見つめる。
 黄緑色の髪は横に纏めており、目も綺麗な黄緑色。服装は、黒のワンピースの様な着物に、紫の帯がある。そして着物の、肩の方が出ていて、フリルもある。
口調も昔らしい、名前も昔らしいのに……格好だけは昔の着物を現代の格好に真似た様な服装だ。
 そんな少女、蝶子が、驚き戸惑っている私を真剣に見つめている。口も開く様子もなく、どうすればいいのか分からない私はただただ黙っていた。とても気まずい。
 「……確かに紅花千紅に似ているのう……。大方、記憶喪失であろう」
「誰なのさその人。紅花って言う苗字でも無いし、記憶喪失でもないよ、私は」
少しの沈黙の後、口を開いたのは蝶子で、その蝶子は私、いや誰が言っても分からないであろう言葉を発した。記憶喪失なんて信じられんぜ、本当。
 「まあ本当じゃ。信じるか信じないかは自由にしてよい。それより……紅花が此処に居れば、光空も居るな」
と蝶子に言われたので私はただ蝶子を見ていた。光空と言うのが気になったので、私は好奇心から蝶子に訊いてみた。
「あのさ、光空って誰なの?」
「知らん。わしは此処で待っているつもりじゃ。此処に居るのは暇だから、千紅、わしと遊ばぬか?」
私が質問したら、蝶子はベッドに背中から飛び込んで言った。
知らんって! 遊ぶって! どういうことだ。