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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 紅花と光空 [01(途)up] ( No.4 )
- 日時: 2010/03/13 18:52
- 名前: 迷鎖 ◆eVKFdGz9q2 (ID: xYJBB/ey)
「ふうっ、間に合ったか?」
只今八時二十分。私は教室の扉を思い切り開ける。教室が静かになるが、それを気にせず教室を見回しながら私は言った。
幸いな事に教師はまだ来ていないらしく、自分の席を立ってさっきまで喋っていた女子や男子が、静かに私を見る。私はどんな奴なんだよ。
「やー、暇じゃない? そこの男子」
「え、僕……?」
私は自分の席の近くに居る男子に声を掛けた。
その主は、さっき会ったうじうじしてる男子……よく見たら可愛い。まさか同じクラスとは思わなかった。もう三月なのに。
「アンタよ、アンタ。何の本読んでんの?」
「りょ、料理本。趣味だから……」
私が本を指差しながら言うと、その男子はおどおどする様に言った。料理って私には到底無理な事を出来るんだな、すっごい。
「趣味料理かあ、んで、名前は?」
「あ、秋原空牙。君は、中村千紅さん、だよね?」
「覚えててくれたの? 嬉しいね」
やっぱりおどおどしている。なーんかイラつくなあ。別に悪い人では無い様だけど。そこら辺に居るくっだらない人間よりはマシか。
「暇な時よろしく」
と私は会ったばかりの秋原くんに手を振ってから自分のノートに絵を描く。
そのノートには黒蝶と蒼霧と言うキャラクターの絵が描いてあった。それは役であって名前はついていない。設定は特に無いとは言え、我ながら上手いと思う。自己満足だ。
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