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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 紅花と光空 [01(途)up] ( No.9 )
- 日時: 2010/03/23 18:46
- 名前: 迷鎖 ◆eVKFdGz9q2 (ID: xYJBB/ey)
「ちょっと、りんさーん。私さあ……頭痛だから保健室言ってきていいかーい?」
と私は頭をさすりながら頑張って声を出す。言っている相手にしか聞こえるか聞こえないか位の小さい声。
すると、りんがこっちを向く。その目には、緑のカラコンを入れている。先週までは黒の目だった筈だけど。
「……いいよ、先生には言っておくねーいっ!」
少しりんが黙ると、明るい声で手を振ってくれた。少し黙ったのは、私が滅多に風邪を引かないもんだから驚いたんだろう。
と言うか、病人に手を振るのはどうかと思うのは、私だけなのかね。
「ありがとう」
ととりあえず私は言っておく。
「千紅さんっ! 顔が真っ青ですけど……気分、悪いんですか?」
外間愛飛。同じ同級生でありこの学校で唯一の親友である外間優飛の妹が、廊下を歩いている、私を気遣う。
黒髪のショートに赤いフレームの眼鏡。手には、お菓子の箱ぐらいの厚い本が二、三冊ある。
——あいつと違って可愛らしい。
私がそう思っている時、愛飛には私の顔が真っ青になるのが見えたらしく、すぐに保健室を勧める様言われた。
「では、気をつけてください」
「うん、ありがとうね、愛飛」
愛飛は、安心したのか、ホッと胸をなでおろす。そして、私に一声掛けてから保健室を出た。
私は、体温計を手にとって、熱を測る。熱は三十八.四度。
……頭痛いのもこのせいか。微熱どころかだ。
「黒蝶……」
「誰よのう? わしら一族の名を呼ぶのは……」
「! あんた、誰……?」
暇な私が呟くと、羽の生えた黄緑の髪の少女が出てきた。
私が驚いてもおかしくない。その少女は、不審者の知らせを受けた時、私のイメージした少女と全く同じ人物だったから。
——全く、おかしなことがありすぎる。
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