ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: つくられもの ( No.13 )
日時: 2010/04/06 19:12
名前: クロウ ◆vBcX/EH4b2 (ID: Fi5I.X3D)

第4話『自分の事より、人の方を』


「……えー、今日は、転校生を紹介します」

教室から、教師の声が聞こえる。
湊は、ため息をつきながら思った。
なんで、俺、こんなところにいるんだろうと。
湊は、学校で習うようなことは、博士に教わったが……。
組織の人間としか話した事がないので、普通の人と同じように生活できかどうかはわからないが……結構無理があるだろう。
湊は、ただ、悩むことしかできなかった。

「ほら、君の番だよ。えっと……笹塚君?」

グレンがそう言って、湊の肩を叩く。
いつの間にか、二人は自己紹介を終えていたらしい。
湊はあわてて

「笹塚 湊です。よろしくお願いします!」

と言って、頭を下げた。
その後、三人は席に着き、授業……は受けたが……。
幽美は窓の外を眺めているし、グレンは机に絵を描くしで、真面目には授業は受けていなかった。
教師からの注意は気にしない。
それに、生徒の視線も気にする気はない。
と、いうか、何も気にする気はなさそうだ。
そんな二人の姿を見て、湊は思った。

俺より、この二人の方が心配だな。

と。
湊が心配している事など、二人は知らず、いつ注意されてもおかしくない授業態度で、授業を終えた。
湊は、思った。
博士、俺、帰りたいです! と……。