ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: つくられもの ( No.2 )
日時: 2010/04/05 16:09
名前: クロウ ◆ebVNSpzUfE (ID: Fi5I.X3D)

第1話『強制誕生』


湊が生まれて最初に見たものは、静かに微笑んでいる父親だった。

完成だ———————

湊の父親はそう呟いて、この部屋から出る。
部屋には、山積みになっている資料が置かれていて、湊の父親が使っているらしきパソコンの画面は、電源が切られていないらしく、暗い部屋の中で光っている。


湊が部屋を見回していると、父親が服を持ってきた。

「これを着るんだ」

父親は服を床に置いて、どこかへ行ってしまった。
湊は、父親が置いて行った服を着て、壁にかけてある鏡を見てみる。
鏡に映ったのは、ぼさぼさの黒髪に、黒い眼をした少年だった。
首には、47と、黒く書かれている。
多分、これは、自分が何体目のクローンかわかるように、番号を付けたんだろう。
湊の他にも、クローンはいっぱいいる。
湊が47番目のクローンなので、湊には46体仲間がいるのだろう。
……俺みたいなのが、46体もいるのか……。
湊はそう考えて、少し笑った。
そう言えば、俺は、なんのためにつくられたんだろう?
と、いうか……、俺、誰のクローン?
湊は、そう考えながら、部屋から出た。