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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 妖怪百物語 ( No.1 )
- 日時: 2010/03/13 22:15
- 名前: 邪狼 ◆XRTr.Bg.qw (ID: /M2Jvana)
第一幕 猫又が生まれたわけ
あるところに一匹の猫がいた。
猫には主人がおり、猫は主人のことが大好きだった。
主人のほうも猫を可愛がり、大切に育てた。
しかし、ある日主人が殺された。
猫の目の前で。首を切られて。
周りは血の海だった。犯人はすぐに逃げたらしくいなかった。
胴体と切り離された主人の生首。
猫は怒った。怒り狂った。
そしていつか復讐することを誓った。
犯人はその後、何事もなかったかのように生きていた。
ある夜のことだった。
犯人が外を歩いていると塀のほうから猫の鳴き声が聞こえた。
塀の方を見ると一匹の猫がいた。
眼をギラギラと輝かせ、こちらを見ている。
猫が何かを銜えている。
最初は月が雲に隠れて見えていなかったが、雲が晴れて見えるようになった。
それは……、
猫の主人の生首だった。
犯人が昔、殺した人間の生首。
猫と同様、こちらを見ていた。
死んでいるのに確かにこちらを見ていた。
『お前は私の大切なものを奪った。だから、お前の大切なものを奪ってやる』
猫が主人を銜えながら塀から飛び降りた。
『絶対に……な』
恨みのこもった声。
猫の尻尾は二つに分かれていた。
猫又になる材料は、
憎悪、悲劇、年月、愛情。
それぐらいがあれば猫又になれるはず……。
猫又は、どんな猫でもなれます。
自分の家の猫は大丈夫ですかね?
尻尾は……われていませんか?
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