ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Lost. 【№07 up】 オリキャラ求む!! ( No.16 )
- 日時: 2010/03/25 16:48
- 名前: 獅堂 暮破 (ID: QYDGIf3B)
№08 「争い」
なんかいろいろあり過ぎて聞き損ねてたけど、あいつらはなんのために人間界に来たんだ?
「あのさ、お前らは何のために人間界で行動してる訳?」
俺は素直な質問をぶつけてみた。
久我達は目を合わせアイコンタクトで会話をしているようだ。
「……今、俺達が元々いた“冥界”では一種の政権争いが起きてんだよ」
政権争い。
あっちもこの人間界とあまり変わりがないのか。
「冥界には二種類の政党があって、一つは俺や恢吏、それに環や古々、汐も属している“ライラス党”俺らのお上に当たる人の名前からそう名付けられている」
珍しく真面目な久我の態度に俺も真剣な眼差しで奴らを見つめた。
「そしてもう一つがシェリアス・ファントム率いる“シェリアス党”って言うんだ」
恢吏の口調からそのシェリアスって奴をあまり好んでいないのが良く分かる。
ここで一つ疑問が俺の中に浮かんだ。
この二つの党が反発しているのは何故か。
一つ話を聞くとその奥まで知りたくなるのが俺の悪い癖かもしれない。
「なんで、その二つの党は争いを始めたんだ?」
俺の問いに答えたのは環さんだった。
この人の外見には何故かこういう話が似合う。
「私達には一つ仕事があるんです。それは人間界で彷徨う魂の回収。私達はそれを“葬送”と呼んでいます。その葬送のやり方で意見が分かれたんです」
環さんの話はこうだった。
ライラス党は彷徨う魂を元の身体に戻すか、冥界へ送るか調査をしてから葬送を行う。
しかしシェリアス党はその調査を省き、全ての魂を一斉に葬送していしまおうとしている。
つまり二つの党の仕事の行い方には大きな違いがある。
そして争いが起き、二つの党は険悪モードになっていると。
「人間も悪魔達も、何も違いねぇな」
俺は思った事を小さく呟いた。
「確かにそうだね。人種の差はあってもやってる事に違いはあまりない」
久我が少し寂しそうに笑っていた。
「で、俺らは今一つの戦いをしている」
新崎は人差し指を立ててそう言った。
「それはどちらが多く魂を回収出来るかっていう戦い。そして多かった方の党に全ての権限が与えられる訳なんだよ。だから俺達は今必死で契約者を探している。己の力を発揮するためにね」
契約者。
それが一体彼らにどんな力を与えるのか。
まだ分からない。
だけど一つ分かる事は、俺はとんでもないことに足を突っ込んでしまったという事。
そして俺の新しい人生が始まっていく。
桜の花が風によって散っていく。
それはまるで人の命が散っていく様子を見ているようだった。