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Re: 双子ノ月、夜ノ国。 ( No.3 )
日時: 2010/03/15 17:36
名前: 羽鳥 (ID: 8PZUrHKn)

第一章 〜夢は語るだけでいい〜

「はーぁ、つまらないわ。 死ぬほどつまらない」

綺麗な緑の葉、紅の薔薇が咲き誇る庭園。
そんな景色を見ながら、一人の少女は言うのだった。

肩より少し長い金髪に、輝く大きな紫の瞳。
その少女の名は───、

「イヴォンヌ、本でも読めばいいじゃないか?」

くるり、と少女は振り返った。
それから燃えるような瞳をして、

「だから、イオって呼んでよ!! それ、嫌いっ」

イオ・ダウストリアは怒鳴った。
本当はイヴォンヌ・アニア・フィール・ダウストリア。
彼女はその名前を嫌っている。

───だって、長くて変な名前なんだもんっ。

イオが住むのは、大きな屋敷だった。
なぜなら、彼女の家は有名な名家なのだから!
もちろん使用人もいる。

「俺は好きだけど、イヴォンヌって名前」

そう呟いたのは、少年。
クセのある茶髪に、透き通るような青の瞳。
名前はエドガー・アベーユ。

幼い頃から、イオと仲良しの少年だ。

「エドガーが好きでも、わたしが嫌いなの!」
「俺は好きだから、イヴォンヌと呼ぼう」
「だーっ、もう! わたしがいない時だけその名前にして!」

エドガーは優しくニコリ、と笑うのだった。