ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

少し修正いたしました。 ( No.7 )
日時: 2010/10/02 15:03
名前: ソフィア ◆fwGIPea7qU (ID: nWEjYf1F)

第二話 「アパート」

兼次は、目の前にあるアパートを一目見てから、大きなため息をつく。兼次の頭の中では、ある一言がループされていた。

(父さんに頼んだ僕が馬鹿だった……)

兼次の父親は大手不動産会社「原町不動産」の全取締役をしている。その為か、兼次は「未来の社長」と言う、取って付けた様な評価を勝手にされ、同級生の女子に「将来、社長婦人になれるかも」といった理由で交際を求められた事が数回ある。しかもその内の一人である、元クラスメートの横島桃は、兼次との結婚後の生活を見据えて頭の中で妄想を繰り広げているとい状態だ。普通の男子なら、むしろここは喜ぶところかもしれないのだが、兼次は幼少の頃に近所の女の子集団にいじめを受けたり、色黒のギャルに踏みつけられたりした事があるので、そのトラウマからか女子が苦手になってしまった。その事もあり、兼次の中学校生活は、毎日が地獄の様だった。

「父さんなら、良い物件を探してくれるだろうと思ったのに……」
兼次は再度、大きなため息をつく。
「こりゃ無いだろ……」

兼次が今日から住む、桜壮東館一C室は、元々はナチュラルブラウンの清潔感ある建物だった事が予想できる。しかし、今の現状を見ると、壁はホコリに塗れ、パンフレットに載っていた資料とは天と地ほどの差があった。おまけに、台所からはゴミ捨て場の様な悪臭が放たれている。思わず兼次は、桜壮から顔を背け、鼻をつまんだ。覚悟を決め、兼次が1階の端にある自分の部屋に入ると、いきなり真っ黒い物体が目に付いた。……言わなくても解るだろう。そう、それは何十匹にも及ぶゴキブリだった。
「……!!」
思わず後ずさる兼次。慌ててティッシュとゴム手袋、くるんだ新聞紙を持ってゴキブリに立ち向かって行った。

 先週までこの部屋に住んでいたという荒川という人は、どうやら部屋を一切片付けないまま出て行ってしまったらしい。
「この様子じゃあ、今日は片付けだけで終わりそうだなぁ……」
兼次は、今までで一番深いため息をついた。

その頃。
「あ。そう言えば、先週売ったアパート、片付けるの忘れてた! 今行けば片付け間に合うか? ……ま、いいや。面倒くさいし。それに今からオフ会の予定があるもんねぇ。出会い系で知り合った、瑠奈ちゃんと! ふふーん、楽しみだなぁ」
兼次が、一人暮らしを始める1週前まで桜壮に住んでいた「荒川連」は現在、中央区の「三越」で、洋服の買い物をしている真っ最中だった。その人物は、何を隠そう、先程兼次にしつこく話しかけてきた少年なのであるが、それはまた、別の話……

:後書き:
今回、テレビの「おかわり!ごはんリレー」を見ながら書いたものですので、すごく短いです!
すいません、本当すいません。
でも、テレビが面白いのが悪いんです!……嘘です、ごめんなさい。

次回は、やっと書きたかった「羅木高校」の描写に入れるかな?
まぁ、ともかく、毎度毎度こんな駄文を読んでくださる皆さん、ありがとう!

誤字・脱字などございましたら、言ってくださると嬉しいです。感想やアドバイスもお待ちしています。

それでは、ソフィアでした〜。