ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ノストラダムス! 参照500突破記念・第2回オリキャラ募集 ( No.73 )
- 日時: 2010/07/30 12:47
- 名前: ソフィア ◆fwGIPea7qU (ID: nWEjYf1F)
第四話 帰り道
「あぁ……疲れた……」
兼次は肩を落として呟いた。
「まさかあんな綺麗な人が空手部だったなんて……うわ、どうしよ……明日からあのうるさい奴と毎日一緒に部活だなんて……最悪だ……」
早口な上に小さい声だが、その言葉には大量の怨念がこめられている事がわかる。
「僕、女子とうるさい奴だけには、なるべく近づきたくなかったのに……」
兼次は手で頭をかかえ、その場にしゃがみこんだ。
そこへふと、心地よい足音が響いた。兼次が耳を澄ましていると、兼次の目の前で音は聞こえなくなった。下を見てみると、目に飛び込んできたのは、見知らぬ男物のブーツ。
「?」
誰だろう、そう思い兼次が顔を上げると——そこには、見知らぬ青年が立っていた。
「初めまして。原町兼次君、だよね?」
そう言って、兼次の肩に手を置く男。大体二十歳前後であろうか、青年は緑のニット帽子を被り、黒いジャージを身につけていた。まるで不審者の様な格好だ。
「……はい、そうですけど……誰ですか? あなた」
不審に思った兼次がそう問うと、青年はこう答えた。
「俺の名前は亮輔。よろしくね、原町兼次君」
そう言って、「亮輔」は手を差し出した。どうやら、握手をしたいらしい。しかし兼次は、
「あ、はい……こちらこそ……亮輔さん……じゃ、じゃあ、僕忙しいんで、これで……」
と、「亮輔」の手をあっさりと振り払い、小走りで桜荘へと向かった。「亮輔」は、それを止める事はせずに、兼次の後姿を静かに見送った。
「——流石に用心深いねぇ、兼次君は」
取り残された「亮輔」は、にやりと不敵な笑みを浮かべ、そう呟いた。そして、誰に聞かせる訳でも無く、こう言った。
「でもね、兼次君。君の周りは、敵だらけなんだよ?」
そして「亮輔」は、バッグの中から、小さな機械を取り出し、赤いボタンを押す。
するとその瞬間、機械から音声が流れてきた。
『ただいまー。あー、今日の夕飯何にしようかな……カレーがいいかな……』
それは、紛れも無い、兼次の声だった。
「ふふ、流石にここまではしないと思っただろうけど……俺はそう他人に甘くは無いから。あー、でも君は、もう少し他人を疑った方がいいねぇ。肩に手を置いたとき仕掛けたの、気づかなかったのかな……ま、いいや。しばらくの間、君の事を監視させてもらうよ、原町兼次君」
そして「亮輔」は、機械のスイッチを切った。そしてそれをバックの中にしまうと、桜荘とは逆方向に歩いていく。
思えばこの時から、「亮輔」の計画は始まっていたのかも知れない。
:後書き:
はい、どうもソフィアです!
今回から、遂に「亮輔」が動き出しましたね!
どうして、亮輔には「」がついているのかというと……〔ネタバレ中ネタバレ中ネタバレ中〕
……よ、要するにまだ秘密です!すいません><
誤字・脱字などございましたら、言ってくださると嬉しいです。感想やアドバイスもお待ちしています。
それでは、ソフィアでした〜。