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Re: ノストラダムス! 参照500突破記念・第2回オリキャラ募集 ( No.78 )
日時: 2010/07/30 17:13
名前: ソフィア ◆fwGIPea7qU (ID: nWEjYf1F)
参照: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%82%B9

第五話 ノストラダムスと恐怖の大王

 兼次と別れた後「亮輔」は、満足気に鼻歌を歌いながら、城下ビルの方角へ歩いていた。すると。
「……ん?」
突然「亮輔」は誰もいない道で立ち止まり、目を細くする。
「何で君がここにいるの? 富山撫子……いや、第二のノストラダムス」
「亮輔」はそう言うと、舌打ちした。
「ちっ……もういいよ。どうせ止めに来たんだろ。出て来いよ」

——その瞬間。
「亮輔」の背後にある大きな杉の木の葉が揺れたかと思うと、小さな破裂音がし、杉の木は粉々に爆発してしまった。杉の木からは、沢山のカラスやホコリが飛び出て来る。それと同時に、人影の様な物も、杉の中から舞い降りてきた。「亮輔」は、後ろを振り返る。
するとそこには、羅木高校の制服を着た、一人の少女がいた。
「お久しぶりです、お兄ちゃん。最近調子はいかがですか?」
そう言うと、少女——富山撫子はにこりと笑った。しかし、その手には手榴弾と見られる物が五、六個握られており、決して穏やかでは無い。恐らく、先程の杉の木も、これで爆発させたのだろう。
「……相変わらず破壊衝動がすごいなぁ。流石、恐怖の大王と知り合いなだけある……ねっ!」
「亮輔」はそう言うと、バックの中から小さな鈍器のような物体を取り出し、撫子に向かって一直線に投げた。
しかし撫子は、物体が体にぶつかるギリギリの所でそれを右手で掴んだ。見かけに寄らず、鈍器の重さは相当な物だったらしく、撫子の右肩はガクッと下がった。
「……何ですか、これ」
撫子は首を傾げる。そして、警戒しながら手榴弾を投げる準備をし、一歩一歩慎重に後ろに下がって行く。
「おいおいノストラダムス。そんなに警戒しなくてもいいよ。これはメイスっていう鈍器を小型に改造した物なんだ。昔は戦争の道具とかに使われてたらしいんだけど、今は警察とか警備員が警棒代わりに持ってるくらいかな。でもこれの破壊力は計り知れない。もしかしたら、君の命だって消せるかもしれないくらいにね」
「亮輔」は笑いながらそう言い、今度はバックの中からダイナマイトを取り出した。
「……投げるんですか?」
「当たり前でしょ」
「亮輔」の言葉を聞き、余裕の笑みを浮かべていた撫子の口元が、一瞬歪む。が、撫子は逃げなかった。
「そっちがダイナマイトなら、こっちは手榴弾です! 先手必勝って昔父さんが言ってましたから、私から先に投げますよ!!」
叫ぶ撫子。
「それはこっちの台詞だね……っとぉ!」
「亮輔」も負けじと叫ぶ。
そして、二人の手から、お互いの武器が放たれた。

その時。
「危ないだろーが、富山に清水ーっっ!!」
撫子と「亮輔」、二人の間に、大声を上げた小さな少女が割って入ってきた。
少女は、昭和時代を彷彿とさせるワンピースで、髪の毛を三つ網に結っていた。瞳は大きく、第一印象では小学校高学年くらいといった印象が与えられる。しかしそれも、彼女の口の悪さで全てが台無しだった。
「お前らいい加減にしろよ! 兄妹喧嘩か何か知らないけど、俺がゆっくり眠れねーだろーが!! 切り刻んで捨ててしまおうか!? ああ?」
少女はそう叫ぶと、撫子と「亮輔」をギロリと睨んだ。
「……恐怖の大王……っ」
「亮輔」はそう言うと、余裕の色をかき消し、バッグの中からメイスを二本取り出し、構えた。
「あんた、福岡にいたんだね。この前どっかの組織に追われて、走って宮崎ぐらいまで逃げたんでしょ? で、その後組織に捕まったって聞いたけど」
「宮崎じゃない、鹿児島まで逃げた。それに組織の奴らは普通に振り切った」
ありえない事を淡々と呟く「恐怖の大王」と呼ばれる少女。しかし、撫子と「亮輔」は、そこ辺の疑問については一切触れなかった。彼女にとって、そんな事は日常の範囲内であり、特に驚く様な事では無かったからだ。
すると撫子は、少女の方へ歩み寄り、
「亜理紗、久しぶり!」
と言って笑いかけた。
「あ、撫子。久しぶりだな!」
亜理紗と呼ばれた少女も、撫子に向かって笑いかけた。どうやら、二人は知り合いの様だ。
ふと撫子は、思い出したように顔を上げ、亜理紗に言った。
「元気だった? もう、三年くらい連絡なかったから、心配したんだよ?」
「大丈夫だよ! 俺を誰だと思ってる訳? あの天下の恐怖の大王様様だよ?」
「まぁ、それもそうなんだけど……様を二度言う必要性は無いよね」
撫子はそう言って苦笑した。

                               *

亜理紗——もとい、鎮西亜理紗は、何を隠そう「恐怖の大王」である。
恐怖の大王とは、予言者・ノストラダムスの予言に記されていた文の中に出現した用語のことだ。

「一九九九年七ヶ月、空から恐怖の大王が来るだろう、アンゴルモアの大王を蘇らせ、マルスの前後に首尾よく支配するために。(百詩篇 第10巻72番)」

この文には多数の解釈が存在する為、確実に言い切れる事は、「一九九九年に空から来る恐怖の大王は、アンゴルモアの大王を甦らせる存在だ」ということだけである。
実際、彼女の生まれは一九九九年であるし、彼女を拾った老婆も、「この子は空から落ちてきた」と証言している。老婆の見間違いだった、という疑いも捨てきれないが、彼女自身も「アンゴルモアを召喚する」という己の使命を赤子の頃から理解しており、その素振りも多く見せている。

それに対して富山撫子は、全ての元凶である「ノストラダムス」の生まれ変わりである。
その予言能力は計り知れず、今までにも多くの事を予言してきた。

撫子と亜理紗。彼女達は、常識からは逸脱した存在なのである。
 
                               *

「あぁーなんだか疲れた。俺、もう帰るね」
ふと、「亮輔」は呟いた。
「お、お兄ちゃん! ちょっと待ってよ……っ」
撫子は慌てて引きとめようとする。しかし、「亮輔」は、撫子の言葉に聞く耳を持たなかった。
「おい、何度も言わせないでくれないかな。俺はお前の兄ちゃんじゃない。赤の他人だ。じゃあね」
そう言って、その場を後にする「亮輔」。
「おい「亮輔」ェ! てめェ、少しは妹と喋ったらどうなんだよ!?」
亜理紗も、大声を上げて反発するが、無駄な抵抗だった。

撫子と亜理紗は、彼の後姿を追いかけることすらできず、ただただ、見守る事しかできなかった。



:後書き:
あああああああああああああああ
終わった!やっと終わった!
何がって?いや、そりゃ、撫子・「亮輔」・亜理紗の絡みシーンですよ!
いやはや、これが書きたくて「ノストラダムス!」をはじめたと言っても過言では無いのです。
ああ、書けてよかった。うん。

……最近、シリアスダーク小説板の神作者様達の小説の更新を見るのがとても楽しみです。
こんな汚い小説スレッドには絶対に名前もあげられませんがねw

みなさん、更新楽しみにしてます!って、ここで言うことじゃないですねw


誤字・脱字などございましたら、言ってくださると嬉しいです。感想やアドバイスもお待ちしています。(毎回コピー文で御免なさい)

それでは、ソフィアでした〜。