ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ノストラダムス!  ( No.95 )
日時: 2010/09/08 18:43
名前: ソフィア ◆fwGIPea7qU (ID: nWEjYf1F)

第七話 秋と「亮輔」

 空手部事件(事件なのか?)から数時間経った夕方。羅木高校内にある武道場で、少女は夕焼けを背景に空手の稽古の真っ最中だった。

彼女の長い茶髪がそよそよと風に揺れる。
切なく甘い、妖艶な表情。
そして、そんなか弱い乙女には全くと言って良いほど似合わない腰の黒帯。
少女は、その帯をきつく締め、大きく息を吸う。
それは紛れも無く、空手部副部長の内田秋の姿であった。
 そんな彼女に見とれていた人物が一人。——連だ。
彼は、武道場の向かい側にある男子トイレの窓から、中を覗いていた。
「わぉ、めっちゃエロくないですか内田副部長。え、これ見ちゃっていいのかな? あぁ、全国の女子、ごめんよ。君たちと言うモノがありながら」
そんな事を一人呟きながら、連は少女に魅入られる。
 彼女は、しなやかに手を太ももに滑らせた後、そのまま腰を曲げ、地面に手をつけた。どうやら、柔軟体操中の様だ。そしてそのまま、両方の股を広げ、右手を——

「〜〜ッッ!!」

と、そこで秋は柔軟体操を一時停止し、向かい側にある男子トイレに向かって、言葉にならない叫び声を上げた。
「あ、ヤベ」
連は、秋が自分に気づいた事を一瞬にして悟り、大慌てでその場を後にした。
「荒川ぁぁっっ!! な、なんで見てんだよぉっ!? あ、待て! 逃げんな!! このスケコマシィ! 変態!」
秋は恥ずかしさのあまり、連に向かって中傷の言葉を浴びせてしまう。……いや、いつもこんな感じではあるが。
「全く……アイツ、今度締め上げてやる! くぅぅ、たかが初段の癖してぇ!」
いや、初段でもかなりの物だと思うのだが……どうやら秋は、初段以上の腕前をもっているらしい。

「……あぁあ、何かやる気無くしちゃったな……」
そう言うと秋は、周りに人がいない事を確認し、道着を脱ぎ捨てる。
と、そこへ。
「あー、意外と大きいんだ。俺としては、秋ちゃんは貧乳のほうが似合うと思うけど……上から七十二・六十一・七十三。合ってる?」
「!?」
慌てて振り返る秋。そこには、黒ジャージに緑のニット帽子——「亮輔」が立っていた。
「な……亮輔!?」
そう叫ぶと、秋は慌てて道着で胸を隠す。
「お、おおおお前って……さ、さささ最低な奴! しかも、三サイズが全部ドンピシャなんですが! 何!? 何で知ってるのわたしの大事なプライバシー!!」
「ふふふそれは企業秘密だよ、秋ちゃん……ところで、最近、羅木に新入生が来なかった? 原町兼次って子」
「……あー、うちの部活に入ってきたよそいつ。なんか大人しそうな奴だったけど……なに? まさか今度はあの子で遊ぼうとしてるんじゃ……」
秋は「亮輔」に向かって非難の目を向けた。
「その通り! よくわかってらっしゃる。流石、内田の娘だね、秋ちゃん?」
「……っ、今は内田のことはどうでもいいでしょ!? そ、そんなことより、着替えたいからあっち行ってて!」
秋はあからさまに「亮輔」から目を背け、言い、
「それは出来ない相談だよ秋ちゃん」
案の定、断られた。
「最悪! もういいよ!」
そう言い捨て、秋は足早に逃げ去った。

「……やっぱ秋ちゃんには、俺がやりたいことバレてたかぁ。まーそうだよな……よし、じゃ、家に帰ろうかな」
「亮輔」はそう言うと、その場から消え去った。
後に残されたのは、秋に怒鳴られ、屋上のガスタンク裏に場所を変えていた、荒川連ただ一人であった。
「……マジかよ……亮輔さん、ハラケンに何するつもりなんだ……?」
連は独り、そう呟いた。


:あとがき:
あー、たぶん今回短いかも……
また、後々編集して色々付け加えます、足りないところを。

えっと、今回は秋ちゃんと「亮輔」の絡みを書きました。
「亮輔」の名字は、一応「清水」なんですが……本当は……【ネタバレ中ネタバレ中ネタバレ中】なんです!

ちなみに、先日選ばせていただいた四名の素敵オリキャラ様は、「亮輔」の関係者になると思います。

誤字・脱字などございましたら、言ってくださると嬉しいです。感想やアドバイスもお待ちしています。

それでは、ソフィアでした〜。