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気休めに番外編①　荒川連ＶＳ教師

羅木高校職員室。今、ここにいるのは、荒川連と生徒指導教師の松本だけであった。

「で、荒川……お前、自分が何で呼び出されたか、分かってるのか？」
「いえ、これぽっちも分かんないっすねぇ、先生」
荒川は、気の抜けた拍子で言った。そんなふざけた荒川に対抗すべく、教師はある物を取り出す。
「……荒川、これは何だ？」
「え、先生こんなのも分かんないんすか？　馬鹿ですねぇ。タバコに決まってるじゃないですか」
「そういう意味じゃない！　お前、まだ高1だろーが！？　タバコなんて吸っていいと思ってるのか！」
「はい、思ってます」
「荒川ぁ！」
松本は、頭の線が切れたように、怒りを露にする。が、荒川はそんな事は微塵も気に留めず、携帯をいじっていた。
「おい荒川……携帯電話を持ってくるのも、校則違反だぞ……？」
松本は、口元をヒクヒクと歪めながら言った。
「え、何を言ってるんすか先生。携帯がなかったら出会い系サイトにアクセスできないじゃないすか」
にこりと笑いながら、淡々と言葉を吐き捨てる荒川。
「あのなぁ荒川。そういう事は家でやれ。てか、出会い系はするなって前言っただろ？　まだやめてなかったのか？」
「俺にはマキちゃんや瑠奈ちゃんを捨てるのは無理っすよー。それに、もう少しで押せそうなんすよ？」
「誰だ、マキちゃんとかルマちゃんて」
「先生、ルマちゃんじゃなくて瑠奈ちゃんなんですけど」
「えーい、そんな事どうでもいい！　もう、この際携帯電話は許可する！　それより、何でお前はタバコを吸っているんだ！」
松本は大声で怒鳴った。普通の生徒なら、ふざけるのもこの辺でストップするのだが、荒川の場合、そうは行かなかった。
「え、だってタバコって美味しいじゃないですか。嫁さんにタバコはやめろって言われてるのに未だに吸い続けている、松本先生なら分かりますよねぇ？」
「な、何でそれを知っているんだ！」
「い、いやぁ……俺、先生の嫁さんとはただならぬ仲では無いと言いますか……」
「そ！　それ……どういう意味だぁ!!　いくらお前がイケメンだからって、俺の嫁はそんな軽い女じゃ無いぞぉ！？　ちょ、待て荒川！　詳しく話を聞かせろ！　おい、荒川！　荒川ぁ!!」


結局。松本先生は荒川君のタバコを止めさせる事に失敗しましたとさ。