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Re: 白銀の少女 ( No.10 )
日時: 2010/03/20 19:16
名前: 羽鳥 (ID: afFDOS/q)

「今朝も北條先輩と登校してきたの、百合?!」

教室に入ると、いきなり女子軍団が迫ってきた。
ギラギラ、メラメラと燃えるような瞳をして。
わたしは少し、後ずさりをしながら、

「あ・・・・・・、うん。 そう、だけど・・・・・・」

ぶつぶつと、小声で呟くように答えた。
───好きで一緒に登校してるわけじゃ、ないんだから!

「ずるぅぅうううううい! いっつも百合はずるいっ」
「はああ、いいなあ、百合は。 あたしも一緒に登校したーい!」
「本当は付き合ってるんでしょう?!」
「百合、羨ましい! 一緒に登校できるなんてっ」

女子軍団は叫んだり、怒ったり、羨ましがったり。
朝から五月蝿いし、耳がおかしくなってしまいそうだった。

北條十夜は、大人気なのだ。
あんなやつの、どこがいいんだろう?!
頼んでもいないのに、毎朝起こしに来て怒鳴って!
わたしのこと「ガキ」って言うし!

「今日も、大人気だね。 北條先輩」

ふと、耳元で親友の声がしたので振り返った。

「琴葉! おはよう」

肩より少し長いストレートの黒髪に、黒縁眼鏡の少女。
見た目は、頭良さそうな美少女。 ───佐倉琴葉。

「うん、おはよう百合。 あ、早速だけど、知ってる?」

ふんわりとした笑顔で、琴葉は言った。

「え、何を? 分からないよ、ははは」
「今日ね、転校生が来るの。 一年生にね!」
「・・・・・・琴葉ぁ、一年生ならどうでもいいよ」

わたしたちは、三年生だ。
一年生の転校生なんて、少しどうでもいい。 個人的にね。

すると、琴葉はギロリとわたしを睨むように見つめる。

「なんと、双子なんだよ?! 美しい、男と女の!」
「琴葉、もっとマシな言い方ないの?」

そんなやりとりをしていたら、先生が来た。
ざわざわ、がたがたと席についていく。