ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白銀の少女 ( No.101 )
日時: 2010/04/15 21:44
名前: 羽鳥 (ID: Gx2AelYh)
参照: 過去編なのだよーw

時は江戸、ここは京の都。
神社の近くにある、少し大きな屋敷。

「魄、ハークッ。 蒼さんが遊びに来たよ」

ひょこ、と親友が顔を覗かせる。
年齢はわたしと同じ、十六歳。 名前は、霧島雪。
長い黒髪が印象的だ。

あ、ちなみにわたしは木下魄。
肩までの白銀の髪に、紫の瞳という、異様な少女なのだっ。
しかも、刀まで持っている。

そして、人の姿なのに人じゃない───。

「ハーク、久し振り」

雪の後に顔を覗かせる、上坂蒼。
ニコッと笑う彼は、幼い子供のようだった。
そして、愛しい人でもあった。 わたしにとって。

「……蒼」

「何々、おれ、来たら駄目だった?」

くす、と雪が笑った。
すると、雪の後ろでカタン、と音がする。

見れば、十二歳ほどの一人の少女がいた。
巫女装束で、漆黒の長い髪。
光のない黒い瞳。

次期巫女になる少女、桐谷千歳だった。

「ちッ、千歳!」

「初音さまが、お呼びです……、あの、魄さんを」

もそもそと喋る千歳。
まだまだ、これでは巫女にはなれないだろうな。

「はい、分かりました。 蒼、あとでね」

うん、と頷いた蒼。