ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白銀の少女 ( No.16 )
日時: 2010/03/21 15:52
名前: 羽鳥 (ID: mM51WarG)

涼しい風が、ふいていた。

「・・・・・・ん」
ゆっくりと、わたしは目を開ける。
あれれ、ここ、屋上じゃない? どうして屋上にいる?

わたしは確か、トイレで倒れそうになって。
・・・・・・それから、どうなったんだっけ??
全くといってもいい程、覚えてない!

「おはよぉ、魄」

いきなり、知らない声がした。 隣から。

「え・・・・・・?」

ふわりとした、金色の毛がわたしの目の前に広がる。

「あなた、転校生、じゃない?!」

あの双子の転校生の、女の子の方だった。
腰まである、流れるような金髪。
わたしを見つめる、ルビーのような紅い瞳。

「うん。 あたしは木下弥生。 それで、あっちが───」

弥生は少しはなれた場所にいる、もう一人の双子を指さし、
「木下疾風ね」、と言う。

「わたしは、園原百合」

一応、わたしも自己紹介をする。

弥生ちゃんは、紅い瞳を薄っすらと細めた。
それから小声で、何か言ったような気がした。

「百合? ふぅん。 魄、じゃないんだね」

───ハク??

「疾風ぇ、百合だって! 園原百合先輩!」

弥生ちゃんは、疾風くんにそう言った。
疾風くんは、少し面白そうな表情でこっちに来る。

「へぇ? ユリ、ね。 あの白くて儚いユリだろ」

あぁ、花のユリね。