ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白銀の少女 ( No.27 )
日時: 2010/03/25 16:32
名前: 羽鳥 (ID: dNHRw1XT)

てくてくと、わたしは静かに家に帰宅した。
適当に宿題をやってから、ご飯を作る。
それから、琴葉にメール。

琴葉から、返信は来ない。
どうしたんだろう。 返信、はやいはずなのに。
お風呂でも入ってるのかな。

チラリと、時計を見る。
───ゲッ! そろそろ十夜が来る時間だ!

わたしは窓から、十夜がまだ来ないかを確認した。
薄い桃色のカーテンを、開ける。

あ、今夜は満月なんだ。 

十夜が来る様子は、まだない。

───『マンゲツ』。

『君も人間じゃないくせに、ね。 魄?』
『これでも思い出せないの?! 魄さん、ハクさんッ?!』

あの双子の、双子の狐の声がわたしの頭に響いた。


『いずれ分かる。 今夜は満月だからな』

───本当ダ、今夜ハ満月ダ・・・・・・!

わたしの頭のなかに、何かが入ってくるような感じがした。
それから、ずっしりとした、重いモノが背中につけられた感じ。

・・・・・・何だ、これ。








「────おいッ、百合! 百合!!」
耳元で、誰かの叫ぶ声がする。

それは、十夜だった。
すごく心配そうな表情で、わたしを見つめていた。

あれ、わたし、どうしたんだろう?

「十夜? わたし、どうした、の?」
「来たら倒れてた。 驚いたぜ、まったく」

そういい終わった瞬間、十夜はわたしを見た。
それも、とても驚いた表情で。

「お前の、目の色は・・・・・・何色、だった・・・・・・?」

「薄紫、だけど??」

「どうしてっ、紫色なんだッ?!」
「─────ッッ?!!」

わたしは両手で、瞳を覆った。
呼吸が乱れていることを、感じながら。

また、だ!
今日も学校で、双子に見つめられた時、紫になっていた!

どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして!

『いずれ分かる。 今夜は満月だからな』

あの双子の声が、また響いた。