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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白銀の少女 ( No.28 )
- 日時: 2010/03/25 16:52
- 名前: 羽鳥 (ID: dNHRw1XT)
「十夜、今夜は満月なんだね」
「・・・・・・? いきなり、何だよ。 満月だぞ?」
それがどうした、という表情の十夜。
わたしも、自分で何を言いたいのかよく分からない。
ばかだ、わたし。
「ごめん、何でもないやっ」
「? 変な奴。 やっぱりガキだな、ガキ」
「だッ、誰がガキですってぇぇぇ?!」
けらけらと、十夜が笑っている。
ぴた、と十夜の笑い声が止まった。
静寂になった、わたしの家。 部屋。
「十夜? どうしたの?」
「・・・・・・・・・今夜も、行くのか?」
「は? 何それ? わたし、どこにも行ってないじゃん」
「やっぱり、ただの人間じゃ、駄目なのか────ッ」
どうしたんだろう、十夜は!!
訳分からないっ。
いつもの十夜じゃないっ。
『ただの人間じゃ駄目なのか』って?!
『今夜も、行くのか?』って?!
今日は訳分からないことばかりだよっ?!
───突然、窓が開き、大量の桜の花が舞った。
「ッ?!」
桃色の花びらと、黄金の満月。
十夜はその光景を、虚ろな瞳で見ていた。
何これ、何これぇええっ??!!
十夜はどうしちゃったの?
何なの、この大量の桜の花びらはっ!!
なんかもう、泣けてきた。
『言っただろう、今夜、分かると』
窓から、一匹の狐が入ってきた。
黄金の毛と、紅の瞳。
「あ、あ、双子・・・!」
『ぼくは疾風。 弥生じゃないからね』
「じゃあ、疾風くん! これは何なの!!」
『園原百合のための、今夜だ』
「はああ?! もっと、分かりやすく!」
『黙ってれば? すぐ分かるよ』
何か、言い返そうと思った。
その瞬間、一人の着物を着た女性が入ってきた。
紅い着物に、肩までの真っ黒な髪。
銀色の瞳で、わたしを睨んでいる。
そして、
『どうして、ドウシテそっちにイるの?』
悲しそうに言いながら、襲い掛かってきた!!
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