ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白銀の少女 ( No.32 )
- 日時: 2010/03/26 15:55
- 名前: 羽鳥 (ID: QCq09XZU)
これ、ホラー映画の撮影現場?
紅い着物に肩までの真っ黒な髪ってさあ、ホラーだよね。
しかも、襲い掛かってくるんだよおお??!!
でも、桜の花が舞っていて、黄金の狐がいる。
この二点はホラーじゃないんだけどさ。
「ひゃああああッ!」
わたしは咄嗟に、女の人をよけた。 ドサリ、と女の人は転ぶ。
すっごく、すっごく、怖いんですけど。
『ドウしテ? 仲間でしょウ?!』
仲間じゃねーよ。
どこにも接点ないから。
ふらふらと、女の人は立ち上がった。
月明かりに照らされた、青白い顔が浮かぶ。
そして、
『あッ、ぎゃああッ?! ぐぎゃあああああああッ』
壊れた玩具のように、狂い叫ぶ。
「疾風くん、これはホラー映画の撮影ですか」
『そんなわけないよぉ。 そろそろ、魄の出番だ』
「だから、ハクって誰のこと?!」
真っ直ぐに、紅い瞳がわたしを見つめた。
体中の血液が逆流する、そんな感じがする。
黄金の狐は言う。
『木下魄。 最強の鬼の血を持つ木下家、最後の一人だった少女』
わたしの瞳は、何色?
ちゃんと、薄紫だよね?
『そして、生まれ変わった。 ───園原百合、という少女として』
ガシャン、と窓が割れた。
女の人が割ったんだと思う。 それから、足音がする。
ぺたぺたぺたぺた・・・・・・・・・!!
「何、それっ!」
『鬼狩りをする、鬼の少女。 木下魄は、園原百合になった』
「わけがわからな────ッ」
『遅い! 殺されたいの、園原百合!』
割れた窓から、一人の少女がひらりと入ってきた。
金髪の頭からは、三角形の狐の耳が。
そして、黄金の尻尾。
「弥生、ちゃん?!」
『まったく、鬼になれると思ったのに。 もうあたしがやる』
弥生ちゃんは、女の人の前に立った。
それから、ポケットから何かを取り出し、手のひらに置く。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
何か言っているが、聞こえない。
『うがあああああああ?! ぎゃあっ、ああああ?!』
狂ったように叫びながら、女の人はサラサラと灰になっていく。
『完了』
弥生ちゃんが、言った。