ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白銀の少女 ( No.36 )
日時: 2010/03/27 16:13
名前: 羽鳥 (ID: vokdlDRO)

弥生と疾風の記憶は、江戸時代にまで遡る。
江戸時代、京のまち。

とある大きな神社の近くにある、少し立派な屋敷。
その屋敷には、四人の少女が住んでいた。

あとは、よく遊びに来る二人の少年。
そして、よく遊びに行った弥生と疾風。

四人の少女は、ただの少女じゃなかった。

巫女であり、強い霊力を持つ者。
次期巫女になる、少し強めの霊力を持つ者。

次期巫女になるはずだった、とても強い霊力を持つ者。

そして────、鬼の者。

その少女の名は、木下魄。 
肩までの白銀の髪に、紫の瞳をした、少女。

自分が鬼でありながらも、巫女と共に鬼を退治した。
ギラギラと光る刀と、鬼の力で。

最期は、鬼にやられてしまった。
儚く、一夜かぎりの桜のように。

木下魄は、生まれ変わった。
園原百合という、少女に。




「なに、それ………」
生まれ変わり。 鬼の少女の生まれ変わり。 
信じられるはずがない。 信じることができない。
上手くできた、夢だね。

『木下魄は、木下家に生まれた最後の少女』
『昔から、木下家は最強の鬼の家系だったんだよ』

最強の鬼の家系の、その娘の、生まれ変わり。
この、わたしが────?
信じられないでしょう。

「う、上手くできた夢だね。 夢、夢」
『夢じゃないんだけど、百合さん!』

その呼び方が、何故か懐かしく感じられた。

違う、これは妖怪に魅せられている夢なんだ!

「この、妖怪め! 上手な夢だね?!」

妖怪は、何も言わなかった。

ぼんやりと、目の前がかすんできた。
───もう、どうにでもなれ。

わたしは意識を手放した。