ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白銀の少女 ( No.4 )
日時: 2010/03/17 19:15
名前: 羽鳥 (ID: CsDex7TB)

第一章  桜舞う、あの月の下で。

『駄目っ、わたしの後ろにいて! お願いだからッ!』

ここはどこだろうか。 わたしは誰を庇っているのだろか。
わたしは必死に両手で、誰かの動きを遮るの。

『これはっ、わたしの仕事なんだから・・・・・・ッ!』

するりと、わたしの両手を抜けていく。
あぁ、いけない! ここから先は駄目なんだ!!

行かないで、わたしに任せてよ────!








「おい、起きやがれ! 起きろって言ってるだろうが」

突然、耳元で怒鳴り声がした。
くそぉ、わたしの大切な睡眠時間を奪いやがって。
もう少しだけ寝かせなさいよね・・・・・・。

「二度寝するなッ、この、ガキッ!」

「誰がガキですってぇええええええええええええ?!」

がばあっ、とわたしは飛び起きた。
寝癖のついたわたしの茶髪が、目の前の鏡で確認できた。
それから、薄い紫色の瞳も。

「もうやく起きたか、このガキめ。 俺の時間を返せ」
「じゃあ、来なければいいんじゃない?」

わたしのベッドの横には、仏頂面をした男がいる。
サラサラの黒髪に、漆黒のような瞳。
名前は、北條十夜。 16歳で、わたしとは幼稚園の頃からの付き合い。

「お前が起きないから、わざわざ来てるんだよ」
「十夜がいなくても、一人で起きられるから」
「嘘つけェエ! 放っておいたら起きないだろう!」

わたしは目の前の鏡に写る自分を、見た。

肩までの茶髪は、自分で染めたのだ。
しかし、どうして瞳は薄い紫なのだろうか?

カラーコンタクトとか、してないのに。
生まれつきらしいけど。

はあ、どうしてこんな瞳なの?

わたし、園原百合の悩みは、それ。