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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白銀の少女 ( No.4 )
- 日時: 2010/03/17 19:15
- 名前: 羽鳥 (ID: CsDex7TB)
第一章 桜舞う、あの月の下で。
『駄目っ、わたしの後ろにいて! お願いだからッ!』
ここはどこだろうか。 わたしは誰を庇っているのだろか。
わたしは必死に両手で、誰かの動きを遮るの。
『これはっ、わたしの仕事なんだから・・・・・・ッ!』
するりと、わたしの両手を抜けていく。
あぁ、いけない! ここから先は駄目なんだ!!
行かないで、わたしに任せてよ────!
◇
「おい、起きやがれ! 起きろって言ってるだろうが」
突然、耳元で怒鳴り声がした。
くそぉ、わたしの大切な睡眠時間を奪いやがって。
もう少しだけ寝かせなさいよね・・・・・・。
「二度寝するなッ、この、ガキッ!」
「誰がガキですってぇええええええええええええ?!」
がばあっ、とわたしは飛び起きた。
寝癖のついたわたしの茶髪が、目の前の鏡で確認できた。
それから、薄い紫色の瞳も。
「もうやく起きたか、このガキめ。 俺の時間を返せ」
「じゃあ、来なければいいんじゃない?」
わたしのベッドの横には、仏頂面をした男がいる。
サラサラの黒髪に、漆黒のような瞳。
名前は、北條十夜。 16歳で、わたしとは幼稚園の頃からの付き合い。
「お前が起きないから、わざわざ来てるんだよ」
「十夜がいなくても、一人で起きられるから」
「嘘つけェエ! 放っておいたら起きないだろう!」
わたしは目の前の鏡に写る自分を、見た。
肩までの茶髪は、自分で染めたのだ。
しかし、どうして瞳は薄い紫なのだろうか?
カラーコンタクトとか、してないのに。
生まれつきらしいけど。
はあ、どうしてこんな瞳なの?
わたし、園原百合の悩みは、それ。
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