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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白銀の少女 ( No.45 )
- 日時: 2010/03/29 22:06
- 名前: 羽鳥 (ID: w/bUrDOd)
肩までの白銀の髪に、紫の瞳をした、少女。
自分が鬼でありながらも、巫女と共に鬼を退治した。
その少女の名は、木下魄。
なぜか、弥生ちゃんと疾風くんの声が響く。
───違う、それはわたしの幻だ。
妖怪なんて、鬼なんて、イナイ。
この世に存在シナイ────!!
木下コハクちゃんは、無表情だった。
光のない瞳に、角度によっては白銀に見える白い髪。
その髪は、肩らへんでクルン、となっていた。
「じゃあ、木下さんはあそこの席ね」
無言で、コハクちゃんは窓側の席に座る。
……わたしの隣でした。
「よろしくね、コハクちゃん」
一応、声はかけておいた。
コハクちゃんは、わたしを見てとても驚いた表情をする。
それから、元の無表情に戻る。
「よろしく……。 えっと?」
「園原百合だよ」
「……よろしく、園原さん」
久し振りに苗字で言われた。
中学校って、苗字で呼ぶ人少ないよね。 男子くらいじゃない?
ま、いっか。
◇ ◇ ◇
どうしてだ、何故?! どうしてなんだッ、どうしてなんだよ!
「疾風っ、どういうこと?!」
「ぼくにも分からないよ!」
バサバサと自慢の黄金の尻尾が騒ぐ。
どうしてどうしてどうして、どうしてどうして?!
何故、木下魄の気配が二つもあるんだ?!
一つは、園原百合。 これは生まれ変わりだから。
だが、もう一つの気配は?!
しかも、園原百合の近くにいるときた。
「誰なんでしょうね」
あたしと疾風は、学校の中を歩くことにした。
◇ ◇ ◇
「どうしてあんな髪の色なんだろうね」
琴葉が問う。
それはクラスのみんなが思うことだった。
今、コハクちゃんは一人で外の景色を見ている。
一人で、ボーッと。
「さ、さあ?」
わたしはそう言うしかない。
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