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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白銀の少女 ( No.57 )
- 日時: 2010/04/01 14:31
- 名前: 羽鳥 (ID: UgN/I8x0)
一体、何が起こっていたのでしょうか。
一体、わたしは何をしたのでしょうか。
どうして、あの狐がいるのでしょうか。
どうして、コハクちゃんの人差し指の傷は治っているのでしょうか。
屋上に来て、コハクちゃんが血を流したあたりから……。
記憶がない。 思い出そうとすると、ぼんやりとする。
「やっぱり本当だったんだね……、弥生ちゃんと疾風くん」
『やっと信じてくれた? あたしたちが黄金狐であることを』
「……今、信じた」
ふっと弥生ちゃんは笑ったんだろう。
「ねえ、今。 わたしは何をしていて、何があったの?」
『木下魄の、復活があった。 一瞬だけ』
疾風くんであろう狐が、静かに言う。
「木下魄……の、復活……?」
えーと、木下魄っていう人はたしか……?
思い出せない。 誰だったっけ? わたし、あんまり記憶力良くないんだよね。
すると、弥生ちゃんが少し呆れたような顔をして、
『まったく、もう。 また最初から?』
「へへ、ごめんなさい」
『仕方ないねえ』
再び、弥生と疾風の記憶は遡る。
時は江戸。
とある神社の隣にある、少し大きな屋敷。
江戸時代、京のまち。
今よりもっとたくさんの、妖怪がいる時代。
そして、鬼が夜を支配する時代でもあった。
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