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Re: 白銀の少女 ( No.65 )
日時: 2010/04/02 10:32
名前: 羽鳥 (ID: UNmuBzLD)

第三章 時を越えて、守りし者。

「遅いな、どこ行ってたんだよ」
家に帰ると十夜がいた。 合鍵を使って、入ったようだ。
十夜を見ると、不思議な安心感に包まれる。
あ、好きとか、そういう気持ちじゃないよ?!

「ああ、ちょっと友達と。 こんな遅くなるとは、思ってなかった」
「ふーん……」

そんなまさか、わたし鬼で狐と会話していたの!
なんて言えるわけがない。

「────した」
ふと、小声で十夜が何か呟く。

「え?」
「……ッ。 何でもねェよ、ばか」

ふいと顔を背ける十夜。

「どうしたの? 顔、真っ赤……」
「うるせッ。 あれだ、夕日だ!」
「十夜。 もう夕日はないよ? 外は真っ暗……」
「だーーーーッ、もう! ガキは黙ってろッ」

何だ、そりゃ。

「とにかく、おれは帰る」
「……おやすみなさーい」

バタン! と乱暴にドアを閉める音が響く。

「……何、アイツ!」
人の家なんだからねーっ!!