ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白銀の少女 ( No.69 )
日時: 2010/04/03 20:19
名前: 羽鳥 (ID: BlQGlUWP)

「いや、あのね、エンジュちゃん」
『ごちゃごちゃ言わない! さっさと付いてきて!』

「わっ────」
ぐいとエンジュちゃんに腕を引っ張られ、窓から外に出る。
ちなみに、二階から。 ひょいっと、舞うように。

───落ちる!
そう思い、ギュッと目を閉じる。

『何目ぇ閉じてるの。 鬼のくせに!』
「わたしは鬼じゃなっ───!」

すとん、と普通にわたしは地面に着地した。
それから、びゅおっと再びわたしは飛び上がる!
しかも、家の屋根より高く!

「ひゃあああッ、どういうこと?!」
『ばか! ちゃんと制御しないさいよ!』

そう叫ぶエンジュちゃんは、軽く地面を蹴り、高く舞い上がる。
わたしと同じ高さまで来て、わたしの腕を掴む。

「制御って、どうすれば? って、どういうこと!」
『木下魄の鬼の魂が、外に出たんだろうね……』
「あんまりよく分からない!」

ふわりと再び地面に着地。
おや、次はちゃんと着地できたようだ。

続いて、エンジュちゃんも着地。

『仕方ない。 一応説明しておく……!』
エンジュちゃんは、鬼について説明し始めた。

鬼は並外れた体力、力を持つ。
そして自然治癒力。 怪我しても、すぐに治る。

あとは鬼によって違うが、何かの力。

この四つは、満月の夜になると特に強力になるらしい。

続いて、わたしと木下魄の魂。

エンジュちゃんの推測によると、瞳が紫になったら半分木下魄になるらしい。

つまり、瞳が紫になるとわたしは半分だけ最強の鬼になる、ということだ。

「へえ……」
『分かった? もう、はやく済ませて帰るんだから!』

「で、どこ行くの?」
『あと少し……。 あ、あそこ!』

エンジュちゃんは少し遠くを指差す。
それは、

「が、学校?!」
わたしたちの、中学校だった。

『よおく見て』
エンジュちゃんは言う。

幸い、わたしは視力が良かった。

グラウンドのあたりを、よく見る。
そこにいたのは、

「ひ……!」

一体の鬼でした。