ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白銀の少女 ( No.79 )
日時: 2010/04/05 21:16
名前: 羽鳥 (ID: LaYzdlO4)

『鬼狩り完了』
木下魄は、小さな声で呟いた。 
はらはらと舞い続ける、桜の花。 桜花。

(すご……い……)
『そうでしょうかね……?』

鬼刀、桜花を見つめながら木下魄は再び呟く。
ふっと顔を上げると、十夜がこっちを見つめていた。

(十夜……)
『あの少年は、十夜というの?』
(うん……。 北條十夜、わたしの幼馴染)

『今は、十夜じゃないね』
(どういうこと?!)
『わたしの大切な、人、だわ。 ───蒼』

ソウ? 誰の名前だろう、それは。
ていうか、どういうことだろう? よく分からない。

「魄」

しっかりと十夜は言った。 ハク、と。
これで二回目だ。

『蒼、なんですね。 蒼なんですね……ッ』
「あぁ、そうだよ。 魄」

『はああい、ちょっとごめんねえ☆』

にょいっと弥生ちゃんと疾風くん、エンジュちゃんが割り込んできた。
エンジュちゃんの怪我は、治ったみたいだ。

白銀の髪も、肩までに戻っている。
瞳も普通になっているし、二つの角もなくなっていた。

「今は木下魄なワケね?」
『あなたは……、勝手にわたしの血を入れた鬼ですね』
「くう……。 そ、そうです」

くす、と木下魄は笑った。

『もしかして、この少年は上坂蒼クンなのかな?』

弥生ちゃんが問う。
すると十夜の姿をした十夜じゃない人は、

「あぁ、おれが上坂蒼。 北條十夜の前世になったみたいだね」
『なんとなく、そんな感じがしていたわ』

『まあ鬼狩りは終わったことだし、
 上坂蒼クンも出てきたことだし、
 寝ましょうよお〜〜』

欠伸をしながら疾風くんが言った。