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Re: 煉獄−業火の女王− ( No.10 )
日時: 2010/03/23 14:34
名前: 紺 (ID: zCJayB0i)

第八話−姉妹−

「暁!駄目じゃない、家に居ないと・・・」
「あんな部屋に一人で長時間居れば鬱になってしまうわ。それにほれ。鞄を忘れておったぞ?」
暁の手には学生鞄が握られていた。
ありがとう〜。と言いながら茜は鞄を受け取る。
しかしそれに対して鮎沢は不穏の表情を見せた。
「本条さん!!本当にその子は貴方の妹さんなの?!」
「ぅえ・・・・え〜と・・・・・はい!」
明るい笑顔でそう答える。が。鮎沢は更に表情を歪めた。
「そんな馬鹿なことがあるわけありません!!だって貴方のご家族は・・・!!」
「まあ良いでは無いですか、鮎沢先生」
暁が鮎沢の前に歩み出る。
「我は本条 茜の妹じゃ。故にそなたに我らの関係に口を挟む権利などないであろう?」
そう言って暁は鮎沢の額に手を翳す。
「・・・そうね、他人の私が貴方達のことに口を挟むのは良くないわね」
鮎沢はそう言ってどこかに行ってしまった。
「すごいねぇ暁。何したの?」
「ふん。ちょっとした催眠術のようなものじゃ」
そう言った暁の服装にハッとする。
「その服どこで買ってきたの?家に無かったよね」
赤いワンピースを着ている暁は可愛らしいなと思った。
「そなたの持っていた服を見てアレンジしたのじゃ。中々良いだろう?」
くるりと回ると、スカートのすそがふわりと舞った。
「そうなんだ。可愛いね!」
「ほほ。当然じゃ。我は煉獄の宮殿の女王じゃ。煉獄美女と呼ばれて居るくらいじゃからのう」
照れているのかいないのか、少し顔が赤らんでいるようだ。
「それより、我はそなたの妹ということになっておるらしい」
「そうみたいだね」
「ならば我はそなたを<姉上>と呼ばなければならぬのう」
「ぇえ?何だか恥ずかしいよ」
しかし暁は呼ぶのをやめようとしない。
「のう姉上。補習とやらは終わったのじゃろう?ならば早う帰ろうぞ」
そして暁は茜の手を握る。
それはさながら本当の姉妹のようだった。