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Re: 煉獄−業火の女王− ( No.16 )
日時: 2010/03/24 18:59
名前: 紺 (ID: zCJayB0i)

第十三話−休息−

「はーいやってきました待ちに待った休日でぇ〜っす!!」
茜が珍しく朝早く起きたかと思うと、いきなりハイテンションで叫びだした。
「・・・・とうとう頭の回路が狂いおったか、茜。今日は月曜日じゃぞ?平日の真っ最中じゃ」
休日では無かろう。と茜を本気で心配そうに見つめる暁。
「今日は昨日の補習もあったし、学校行事が休日にあったから代休なの!」
だから今から遊びに行くよ!!と暁の用意を素早く済ませ、家を飛び出したのだった。


「来たよー!!!休日の憩いの場所!!」
「・・・・こんなに虫けら共がうようよ居るような場所でどのように肩の力を抜けと申すのじゃ」
暁はげんなりしているが、茜は目をキラキラ輝かせている。
今居る場所はテーマパーク。今一番人気の場所である。
「さあ!!アトラクション全制覇するよ〜!!!」
本当に珍しく張り切っているので、暁は水を差すのをやめた。


「もうすぐだよ〜。暁怖くない?大丈夫」
「む、むむ、無論じゃ!!王たる我に恐れるものなど無い!!」
「へぇ〜すごいねぇ」
「こ、このようなちんけな乗り物が怖いなど、人間もたかが知れるのう!!!」
「・・・・声裏返ってるよ?」
「何を申す?!我の美声が裏返るなど、有り得・・・・ぎゃああああああああああああああ!!」
「わあ〜〜〜〜♪」
絶叫と共に、茜と暁の乗っているジェットコースターは勢いよく落下した。
茜は心から楽しんでいたようだが、暁は本気で怖かったようだ。
「あははは♪すごく面白かったね〜」
「怖くなんかないぞ・・・・・たかが頂点から落下するだけの乗り物なんぞ・・・・・。
 ほほほほほほほほほほ・・・・・・・・」
顔を青褪めて、訳のわからないことをポツポツと肩を震わせながら言っている暁。
「・・・・・・よっぽど怖かったんだね」
「!!・・・・ほほ!!さっきから言っておろう?我は王じゃ!!恐れるものなど無い!!!」
「じゃあさっきのもう一回乗ろ「謹んで遠慮させてもらう」」
一瞬顔を見合わせ、それから満開の笑みを零した。
二人はアトラクション全制覇を目標に、パーク内を駆けまわる。
何だかんだ言いながらも、暁も楽しんでいたようだった。


「ほほほ!ほんに愉快じゃったのう。このような娯楽が下界にあるとは驚きじゃ」
「でしょう?私も初めて行ったけど結構楽しかったよ」
ふふ。と笑う茜に暁は目を見開く。
「・・・・初めてなのか?」  「?うん。だって一緒に行く人居なかったもん」
にこにこし続ける茜に暁はそれ以上の言葉を紡ぐのをやめた。
「あ!!そうだ!!はい、暁。手、出して?」
「?何をするのじゃ?」  「いいから!早く!!」
急かすので、暁は渋々手を伸ばす。すると・・・。
「!!」  「どう?可愛いでしょ?」
手首に通されたのはブレスレットだった。
「その真ん中についてる赤いハートにね、一目ぼれしちゃったの!!」
「・・・・・心臓ハート、のう・・・」
手首からぶら下がるハートを見つめながら、暁は思うのだった。
『この心臓ハートが、<あやつ>の物じゃったら簡単に握り潰してやるのに・・・・残念じゃ』
ハートを、手が赤くなるまで暁は握っていた。