ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 煉獄−業火の女王− ( No.17 )
- 日時: 2010/04/01 21:58
- 名前: 紺 (ID: zCJayB0i)
第十四話−残虐−
「・・・・・今日も学校とな?」
明らかに機嫌が悪くなった暁が抱き枕を抱いて睨んでくる。
「平日だからしょうがないじゃない。我慢して留守番しててよ。ね?」
毎日学校に行く茜に暁は拗ねているらしい。
綺麗な顔を歪めて、もの凄い眼光で睨みあげてくる。
「ふん。ならば好きにすればよい!!我はそなたのことなどもう知らぬ!!!!
早う学校とやらにでも行けばよいではないか!!」
ふいっと窓の方に顔を向ける暁。
「っ・・・・じゃあ、行ってくるね・・・・」
茜はしょんぼりとした風に部屋を出て行ってしまった。
一人になった部屋で、暁はそっと呟く。
「・・・・・・ほんに、そなたは優しいのう・・・茜」
抱き枕に顔を埋めて、息を吐いた。
「・・・・陛下。今日はご機嫌斜めですね。茜様と喧嘩でもなされたのですか?」
「口を慎めイリア。主君の心情に土足で入ってくるその愚直さ、嘆かわしいぞ」
この前の路地裏で、イリアと暁は話をしていた。
イリアはこちらの世界で働いているらしく、OLのような格好で暁の前に立っている。
暁は胸元が少し開いた紫色のワンピースを着ていて、髪を高い位置でポニーテールにしている。
「申し訳ありません、陛下。話は変わりますが<あの者>の所在については未だ不明・・・・。
一切の情報は抹消されています」
落ち着いた口調で淡々と話すイリア。暁はまじまじと手首のブレスレットを見ていた。
「・・・・・抹消、か・・・・・・・・。実行したのも<あやつ>じゃろうて」
「そのようですわね。陛下の書斎の鍵は、陛下と<あの者>しか持っていませんもの」
暁はギュッと拳を握る。
「<あやつ>を信じ、託したのは我じゃ。我の甘さが生み出した事件・・・・・。
我が何とかせねばならぬのう」
すっくと立ち上がる暁を、心配そうにイリアは見つめていた。
「・・・・陛下、私に出来ることが他にもありましたら仰ってください。
持てる力の限りを尽くすことを、陛下の御名にお誓い致しますわ」
暁の手の甲に額を寄せると、そのままイリアはどこかへ行ってしまった。
「・・・誓い・・・・・・・・・・・」
イリアの消えて行った方を、暁は見つめていた。
するとそこにいかにも柄の悪そうな複数人の男達がやってきた。
「あれぇ?お譲ちゃんどうしたのかなぁ?」
人をおちょくったかのような喋り方で話しかけ、暁の周りを囲む。
「迷子にでもなっちゃったのかなぁ?なんてな!!!あははは!!」
男達は笑いだす。その声を聞いて、暁は肩をふるふると震わせる。
「・・・・・・・・・・・」
「?泣いちゃったのかなぁ?」
一人の男が暁の顔をのぞく。と。その瞬間。
「黙れ!!!!!!この蛆虫共がぁあああああああああ!!!!!!!!!!!」
のぞきこんできた男の顔を手で貫いた。
グチュリ、と音をたてて、暁が手を抜き去ると男の亡骸は無残にも地に伏した。
「うわあああああああああ!!!何なんだコイツ!!!!!!!!」
残りの男達の前に暁は仁王立ちになり、叫ぶ。
「誰に向かって口を聞いておるのじゃ、この虫けらがっ!!!
我を煉獄の王と知っての狼藉か?・・・肝の据わっておる下衆共じゃのう・・・・・!!
良かろう。その行いに応じた<褒美>をやろうぞ。・・・・受け取るが良いわ!!!!!」
手から大きな鎌を出現させ、暁は構える。
「・・・・・これは、裁きじゃ。我が裁きを受けられることを・・・・光栄に思え!!!!!!」
一振りしただけで、その場の男達はただの肉塊と化したのだった。
大量の返り血を浴び、顔から沢山の生温い液を滴らせながら暁は言う。
「、そう言って、誓うと言って!!!皆我から遠ざかってしまうではないか!!!!!!
我一人を置いて・・・・・・・・我の手の届かぬ所へ逃げてしまうではないか・・・・・・」
異臭の立ち込めるその空間で、王は一人、嘆かれたのだった。