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Re: 煉獄−業火の女王− ( No.9 )
日時: 2010/03/23 13:28
名前: 紺 (ID: zCJayB0i)

第七話−学校−

「もうこんな時間!!早く行かなきゃ遅刻しちゃう!!!!!」
今日は遅刻出来ないのにぃ〜・・・・。と言いながらワタワタしている茜。
時計の短針は8を、長針は真上に向いているので、もの凄く慌てているのだろう。
「?何じゃ茜。何をそんなに慌てておるのじゃ」
モゾモゾと布団の中から這い出てくる暁。
今起きたばかりで眠いのか、目をガシガシと擦っている。
「学校行かなきゃいけないの!赤点取っちゃったから補習に出ないと単位もらえないの〜!!」
制服をせっせと着ていくがボタンを掛け違えた所為でタイムロスだ。
「どうしよう・・・・絶対遅刻だぁ・・・」
留年したらどうしよう・・・・。とぼやきながら部屋を出ようとする茜。
そんな茜に暁が声をかける。
「・・・・・ふむ、良かろう。部屋に泊めてもらった礼じゃ。受け取るが良いぞ」
そういって暁は煙管を口に含み、白い煙をふうっ、と茜に吹きかける。
「うわっ!!何するの?!」
茜がそう言って部屋から一歩外に足を踏み出した。
すると茜の体は傾き、重力に逆らって落ちていく。
部屋の外は階段に続く廊下の筈であったが、そこにはどこまでも続く闇と、穴があった。
「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
茜の体が穴に落ちていくと、その穴はシュルリと消えてしまった。
「名付けるなら<兎穴うさぎあな>、と言ったところかのう」
暁だけとなったその部屋に、有害物質を含んだ煙がゆらゆらと漂っていた。


「本条さん。正直に言ったらお咎めなしにしてあげるから、ね?」
「ぇ・・・うぅ・・・・・・・」
茜は今数学の担当教師の鮎沢に尋問されていた。
「だ、だから・・・・わからないんです・・・・」
「本条さん良いですか?
 人間が空から降ってきて中庭の植え込みに着地したから無傷で済んだ、なんてありえないんですよ?」
そう。確かに茜は空から降ってきた。降ってきて中庭の植え込みに着地したので無傷だったのだ。
『あの穴みたいなのから出てきて気づいたら中庭に居たんだってば〜!!』
「・・・・全く。本条さんは嘘を吐かないことだけが取り柄なんですから、ね?」
嫌味をいってくるが、茜はにこにこしている。
「鮎沢先生」  「何ですか?」
事務員の先生が鮎沢を呼ぶ。
「本条さんの妹さんがいらっしゃってるんですが・・・」
「本条さんの妹?そんな馬鹿な・・・」
事務員の先生が一人の女の子を連れて職員室に入ってきた。
その少女は・・・・・。
「来てやったぞ。茜」  「暁?!」
部屋に居るであろう赤髪の少女だった。