ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 夜空と僕 ( No.1 )
- 日時: 2010/03/20 13:31
- 名前: 修羅人 (ID: JgiXnGnD)
僕は、少し怖かったが、声を張り上げて言った。
「此処は何処なんだよ!!早く僕を家に帰せ。」
だが男は、にっこりと笑って言った。
「私には時間が無いのです。貴方を家に帰すなどという時間は有りません。ねぇ、青樹様。」
早く帰らないと、父さんや母さんが心配してる。
焦り出した僕を、ひょいと担ぐと、別の部屋に運んだ。何を言っても無駄だ。と思った僕は、抵抗はしなかった。やがて、さっきの部屋よりも立派な部屋に着いた。男は、僕をソファに座らせると、隣に座った。
そして、ひざの上で腕を組むと、言った。
「青樹さま、貴方は御自分がどの様な血筋の者かを、ご存知ですか?」
何故、そんな事を今聞くのかは分からなかった。
「そんなの、興味も無い。」
無愛想に答えた僕。
「貴方は、完璧に仕事をこなす、立派な殺し屋のお孫さんなのですよ。」
「はァ?!」
此処まで手荒な事をしておきながら、ドッキリか??
「おじいちゃんは、普通の人だ。」
「えぇ。それは、引退されましたから。」
「お父さんも普通だ。」
「それは違います。」
(下手な嘘のドッキリだ。)
僕は、大きく溜息をついた。
「じゃあ、お父さんは何をしているんだよ?お前は、そんな事知らないだろ??」
「結羅様のご両親は、どちらも殺し屋ですよ。」
「・・・ふっ、あはははは・・・・
良い大人が、何をそんな見えすぎた嘘を付いているんだよ?」
「嘘では有りません。」
きっぱと言った男は、嘘を続けた。
「貴方にも、その仕事を受け継いでもらわなければなりません。」
「いやだね。」
(訳分かんね。)
席を立とうとした僕。
「はぁ。」
男は溜息をついた。
そして、言った。
「こんな事をして、貴方に素質があるかなんて調べたくありませんが、貴方が何も信じてくれなさそうなので・・・・申し訳ありません。」
その言葉には、耳を傾けなかった・・・が
ドアノブに手をかけたときだった。
ヒュン______
何かが、耳を擦った。
ダラッ____
温かい物が、首に垂れてくる。
「痛っ!!」
(・・・?!血)
「お前っ!!正気かよ?!いくらドッキリでも、ここまですんなよ。」
「貴方が、青樹の血を継いでいるのか?信じてくれないなら、この方法が一番手っ取り早いのです。」
男は、両手に5本のナイフを構えていた。
「ご両親も、より強い血を残したいのです。そうして青樹家は繁栄してきたのです。弱い者は切り捨て。」
嘘だ。僕の母さん、父さんが、そんな事思ってるはず無い。
ヒュッ____
次のナイフが、僕のすぐ隣に刺さった。
「さぁ、次です。」
ヒュッ____
続く