ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 夜空と僕 ( No.12 )
- 日時: 2010/04/27 15:10
- 名前: 修羅人 (ID: JgiXnGnD)
「何でだよ!?まだ・・・来て、三日だぞ。」
僕は、俵藤との約束があった。
だから、今帰る訳には行かなかった。
「結羅…もしかして、帰りたくないのか?」
龍切は、心配する様に僕を見た。
「うん…帰りたくない。後少しでいいから・・・此処に居させて。」
「それは、駄目だ。良いだろ!?無事に終って。誰も殺さないんだぞ。もお、此処には用はない。帰って、十分に休んで、また、次に備えるんだ。」
僕を、説得させようと、龍切は必死に言った。
龍切の言って事は、正しい。
でも、僕は…帰る訳にはいかない。
『安心して、眠りなさい。___』
玉玄の優しい声音が、僕の耳元で聞こえた。
その瞬間、僕の意識は夢の中へ___。
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「結羅様・・・」
僕は、元の家のベットに寝ていた。
僕の横には、椅子に座って、申し訳なさそうな顔をした玉玄が居た。
「帰ってきたの?」
「はい。」
大きな窓から差し込む光が、眩しくて目を開けられなかった。
「薬は・・・誰か、やってた?」
「いいえ。誰も。」
「そっか、良かった。」
僕は、起きると玉玄と一緒に、一階のリビングに行った。
其処には、沢山のご馳走を用意した、湖が居た。
「お帰りなさい。」
いつもより、幸せそうな笑顔の湖。
「ただいま…。」
だが、僕は笑う事が出来なかった。
それを、変に思った湖は、玉玄とこそこそ話し出した。
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龍切は、今日は居ないらしい。
僕は、また不安になった。
この仕事を続けるなら、こうゆう思いを、これから先も経験する事になる。
そんなの、悲しすぎる。
僕は、自分の部屋に戻ると、窓の外を見た。
たったの二日しか、あの学校には居なかったけど、僕はあの学校が大好きになった。俵藤にも、会いたい。
もう一度戻って、もっともっと皆と仲良くなりたい。
「俵藤・・・・・」
そう呟いた僕は、此処に来る前の学校の事も思い出した。
(あの学校は、なんだか好きじゃなかったな。)
今までの思い出に浸っていた。
僕の両親は?友達は?
今何をしてるかな____?
「よしっ、逃げよう!!」
僕は、着替えると、自信満々に扉を開いた。
此処からは、怪しまれない様に、中庭から外に出よう。
(大丈夫。心配しなくても、危険な事はしないし。少ししたら、帰ってくるよ。)
僕は、長い廊下を勢い良く走り、中庭へ急いだ。
「結羅様?」
廊下の向こうから、玉玄の声がした。
僕は、心臓が高く跳ねた。
「玉、玄・・・。」
玉玄は、全てを知っている様に、話し出した。
「此処から、脱走する御積りですか?」
僕は、黙り込んだ。
「安心してください。私も、協力しますよ。」
「ほっ、本当!?」
「えぇ。しかし、また・・・帰ってきますよね?」
「うん。ちょっと、外に出るだけだから。」
「青樹家の本家の者を、助けてこそ、私は幸せなのです。」
よーしっ!!
少しの間、出かけるぞ。