ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

夜空と僕 ( No.6 )
日時: 2010/04/05 16:10
名前: 修羅人 (ID: JgiXnGnD)



犠牲になるのは



貴方?



それともボク・・・?



何も犠牲にしない



そんなの不可能だ



欲深い生き物は



今あるものさえ簡単に切り捨て



新しい物を手に入れようとする



キリステラレルノハ________?



ギセイシャハ



ボク・・・? 



ソレトモアナタ?







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日は、爽やかに目が覚めた。
僕は、一人が使うには勿体無いほど大きなベットから
体を起こす。
窓の外は、先が見えないほどの広い森が続いている。
僕は、まだ此処が何処だか分からない。


朝ごはんを食べるために、キッチンへ。
と、言ってもエレベーターとか色々乗らなきゃ大変な
程この家は広い。
一人で行くことは無く、廊下を曲がると玉玄が居る。
そして、また暫く歩くと竜切が笑顔で走ってくる。
僕は、此処の生活に慣れただろうか?


キッチンに着いた。
時刻は、7時45分。
豪華な料理が、沢山並んでいる。
湖が此方を見て、笑顔になる。
「おはよう。」
「お早うございます。」
はぁ。ため息が出るほど幸せ。
朝から、こんなに可愛い子にご飯作ってもらえるなんて。
僕等は、これはまた高そうな椅子に座る。
長くて大きな机に眠そうに、竜切がもたれる。
暫くすると、いい香りの紅茶が運ばれてくる。


食事が終わると、着替えて、毎日違う内容の楽しい
玉玄の授業がある。
改めて思うがこの家には、6人しか住んでいないのに
大きくて綺麗な家だ。
授業が終わると、竜切に戦う方法とか教えてもらう。
玉玄は、いつも僕の傍に居て、色んな事を一緒にする。











此処に来てから、楽しいことが増えた。
とにかく、苦しいことが無い。
頑張る事も、楽しくて仕方なかった。


ふと、そんな事を考えていた。
僕は今、夕飯も済ませて部屋に居る。
一人、ソファに座って、ボーっとしている。
退屈ではなかった。
僕はそのまま、ソファに横になった。


・・・・・ラ・・ゥラ・・・・

「結羅。」
耳元で、竜切が僕の名前を呼んでいた。
僕は横になってそのまま寝ていたらしい。
「ン・・・・何?」
「仕事。」
「あぁ。仕事・・・・・」


あっ!!??
仕事?!・・・・・・・・大変だ


僕は驚いて、飛び起きた。
「はは。緊張するか?結羅。」
「そ・・・・・・そりゃするでしょ。」











夜中の出来事だった。
僕等は(僕・玉玄・竜切)サングラスを掛けた如何にも強そうな人たちが運転する車に、乗って家を出発
した。
「仕事内容は?桔梗。」
助手席には桔梗が乗っていた。
いつもの様に、無表情だ。
「お前等は、学生になりすまして学校に通え。まぁ、
一日中此処に居る奴等に見張られてるから、安心だ。依頼は、その学校の生徒が薬を売り付けられているらしい。歴史のある有名進学校だ。生徒がそんな物を持っているとなると、大変な事だ。ニュースになる前に売り付けている奴等を捕まえろ。と、な。」
「此処にいる奴等って、サングラスの人?」
「あぁ。」
「玉玄は、かなり大きいけど大丈夫かよ?」
竜切の質問は、僕も気になっていた事だ。
「大丈夫だ。お前等が通うのは、高校だ。」
可笑しくない?僕は・・・まだ中学生だよ?
玉玄と竜切は良いとして、僕は??
考える暇も無く、制服とマンションの鍵を渡され車から降ろされた。
「じゃあな桔梗。」
車はあっという間に出た。
呆然とする僕。二人はマンションに向かって歩き出した。
「結羅様、行きますよ。」











僕らが降ろされたのは、街中ではなく目立たない公園。暫く歩いたが、マンションは見つからない。
そこで、竜切が交番へ・・・
やっと場所が分かり、マンションに着いたのはお昼前。
朝食もなしで、かなりの空腹だ。
マンションは、3人で一つを使う。
それでも、余る位広い。
(流石・・・)
家具は、新しく立派なものだ。
荷物は準備する暇が無く、私物は無い。
「腹減ったし、とりあえずご飯食べよっか?」
竜切の提案に賛成。
僕等は、町へ。











「都会か?」
「窮屈ですね。」
二人は、周りをじろじろ見ている。
「何でそんなに見てるんだ?竜切も玉玄もこの位幾らでも見たこと在るだろ?」
二人は、僕を見ないで返事をした。
「仕事のためですよ。此処にだって怪しい奴が居るかもしれないでしょ?居たら、連絡してマークする。」
「そっか。」
僕も注意して辺りを見た。











街中の高級レストランにでも行くかと思ったら、普通のコンビニ・・・?
「なんで、レストランとか行かないんだよ?」
「いおいお、結羅そんな所に子供だけで住んでる学生が行くか?目立ったらおしまいなんだよ。」
「・・・・・そっか。」
細かいところまで、気を使ってるな。
二人には、これからも沢山のことを学ばなきゃ。
コンビニには僕らがこれから通う学校の制服を着た学生が沢山居た。
ガラが悪そうではなく、凄く真面目そうだ。
竜切も、玉玄も出来るだけ沢山の学生に話しかけていた。
(友達とか作ったほうが、情報が多く得られるのか。)











今日は学校にはまだ行かなかった。
久しぶりに家の敷地ではない外。


殺し屋・・・でも無い。
思ったような仕事は無くて、安全。
誰も犠牲にしないように、傷つかないように。
僕はそれだけを一番に考えていた。
『殺してくれ』
なんて事は言われていない。
って事は、今回は誰も殺さなくていいんだよな?






続く