ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 女神様は悪魔(オリキャラ♂・♀(特に!)募集中!) ( No.15 )
- 日時: 2010/03/30 19:43
- 名前: レオ (ID: F35/ckfZ)
第参話「裏切り者の報い」
「後方からフランスの軍勢が迫っています。かなりの大群です」
優しい声がニィのハープの音を遮った。彼女はCOS-MOSU。今は「キリア」と名乗っているが、誘惑の悪魔と呼ばれる張本人である。
「フランス!?で、スピードはどうだい?」
「かなりの速さです」
「白馬隊かねぇ…」
うちの白馬隊は世界一の速さを誇るといわれているからねぇ。
「大群…。ここは退くべきだろう」
「残念。白馬隊から逃げるのは難しいよ」
「あと1mです。ここは私に任せて下さい。貴方方は速やかに撤退を」
「冗談じゃないよ。1人で勝とうとするなんて…。仲間の意味ないじゃん?」
「ここで多くの犠牲者を出すより、私1人が犠牲になる方が被害は小さくて済みます」
「キリアの言うとおりだ。俺達はここで退こう」
「キリアさんっ!生きて帰ってきてくださいね!!」
今にも泣きそうな瞳で訴えてくる。
「じゃ、死んでたら承知しないからね?」
そして、全速力と思われるスピードであっという間に去って行った。
「ねぇ、そこの人。こんな人知らないかしら?」
見せられた写真にはディアが写っていた。
「私の仲間です」
そして、今までの容姿プログラムを変更して今までの水色の髪に紅い瞳に戻った途端、白馬隊の顔が変わった。
「誘惑の悪魔なのね!?ここで死んでもらうわ!!」
「生憎ですが、その予定は私にありません」
「ふん!多勢に無勢よ!!たった一人の武の力、思い知りなさい!」
「ラーセルトゥエターレ」
突撃をかけてきた途端に謎の呪文を言い、白馬隊がいるところの砂が白馬隊を飲み込むように動く。
「きゃっ!?」
白馬は足を取られ、真っ先に沈んでいく。
「(マズい、このままじゃ…!!)」
「おい、アナスタシア皇女!!」
「ちょうど良かった!助けてっ…!」
あれ?コイツ、あの生意気なクソガキ??
「うわ、砂に溺れてやんの!!かっこ悪ぃ!」
「ぷぷぷ」と笑いをこらえる。
「ちょっと、そんなこと言ってないでホントに早く助けてよ!!死んじゃうじゃない!!」
「くっ、ははははっ!!」
砂に溺れる人間なんて初めて見たぜ!!ああ、笑いが止まらねぇ!!
「あたしが死んだらアンタ、元に戻れないのよ!?それでもいいのー!?」
どうせ「元に戻してくれ」って言うんでしょ!?
「えっ!?それはダメ!!」
そして急いで手を引っ張る。
「痛い痛い痛いーっ!!!千切れちゃうじゃない!!」
涙目で訴えてくる。
「やべ、マジで抜けないって!!」
「いやぁ!!ちょっとぉ!千切れたって何だっていいからお願いよ!!」
「うわっ!おわっ!!」
ヤバい、このままじゃ俺まで!!
「うっわー、大丈夫!?二人とも!!」
「今から手を貸すわ!」
女二人組が駆けつけてくる。
「せぇーのぉー!!」
二人で引っ張りあげる。
「いていてっ!!」
マジで千切れるぐらい痛ぇ!!
「きゃー、痛いーっ!!」
ホントに千切れちゃうわよー!!
「せいやーっ!!」
「たぁっ!」
二人も最後の力を振り絞り、どうにか引き上げた。
「ありがとー!助かったわ!」
「サンキュ。俺はアルス。お前たちは?」
「私はテオ・ウィールっていうの。ねぇ、女の子のほうの名前は?」
「私はカシュー・N・アストラック」
「あたしはアナスタシア。ニコライ二世の娘よ!」
「ニコライ二世って、ロシアの!?」
二人とも驚いて目を見開く。
「そうよ!」
「こんなところにいていいの!?」
「えへへ、お城がね…。悪い人に取られちゃったの」
「へぇ、そうなんだ…。帰るところはあるの?」
「ないわ。でもね、皆あたしのこと泊めてくれるの。辛いことなんてないわ」
「大変ね、まだ小さいのに」
「まだ小さいのにって…。同い年くらいでしょ?」
「私、18だよ?」
「うそっ!?超童顔!!」
「そうなの。いつも14歳とかそれくらいに間違えられちゃう」
「へぇー。でもいいじゃない、可愛いんだから!」
「うわー、私も14歳くらいかな?と思ってた。私より年上なんだ!!」
「ねぇ、何故あんなことになっていたの?」
「誘惑の悪魔に出くわして…。それでこんな魔法に惑わされて…」
「「誘惑の悪魔!?」
二人が顔を見合わせ、声をそろえて言う。
「誘惑の悪魔は私達の敵でもあるの。ねぇ、貴方達も狙ってるなら、手を貸すわ」
「ホントに!?ありがとー!!何から何まで感謝ばかりね!」
「おい、俺は誘惑の悪魔なんて倒そうと思ってねぇけど…」
「えー、でもいいじゃん!この娘の仲間なんでしょ?」
「いや、ちがっ…」
「はい、そういうことでこれから私達は仲間ー!よろしくね!!」
「あっ、キリアさんだ!!」
「…」
思ったより早かったな。
「無事だったみたいだね」
「キリアさん!無事ですか!?傷ついたところがあったらボクが…!」
「いえ、平気よ。この通り、怪我はないわ」
「そうかい。そりゃよかった。しかし、あの連中をどうやって巻いた?」
「砂に飲み込む術を使いました。簡単にいえばアリ地獄です」
今までの低く冷たい声とは違って静かで優しい声で話す。役者で食っていけるんじゃねぇの?と思う。
「へぇー!そんなことができるんだ!すごいですね!」
楽しそうにニコニコ笑っている。本当に世間知らずで可愛いと思う。
「ですが、あの者はまだ追ってくるでしょう。白馬隊はほぼ壊滅しましたが、白馬隊の隊長とよくわからない人物3人が生き残りました」
「よくわからないって…」
解ってもらわなきゃ困るんだけど?キリアちゃん?
「一人は暗殺者です。一人は名家デュランダルの跡取り息子、もう一人は普通の方です」
「へぇ…」
裏ルートには割と詳しい方だからね。
「暗殺者か…」
案外知り合いかもしれんな。
「暗殺者?暗殺者ってなんです?」
初めて聞きました。なんかかっこいいですね!「暗殺者」って響き!
「誰にも気づかれないように人を殺す人のことです」
「…」
殺す…。そっか、人が死んじゃうんだ。悪い人なんだ「暗殺者」って…。