ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 女神様は悪魔(オリキャラ♂(特に!)・♀募集中!) ( No.7 )
- 日時: 2010/03/25 22:04
- 名前: レオ (ID: F35/ckfZ)
第壱話「決意を胸に」
「お姉ちゃん!マオも行かせてよ!!」
「ダメよ、マオ。戦場はいつ命を落とすか解らないの。そんなところに私の可愛い妹を連れていけるわけないじゃない」
「お姉ちゃん!マオ、独りぼっちは嫌だよぉ…」
「大丈夫よ。いくら離れていても心は繋がっているわ。いつもお姉ちゃんはマオのことを思っている。心配しないで」
もうこれ以上話はしたくないな…。涙が出そう。もう泣かないって決めたのに…。
お母さんとお父さんが死んでから、私がマオを守らなくちゃいけなくなった。だから、お姉ちゃんの私が泣いちゃいけないと思った。マオが心配しちゃうものね。
「じゃあ、行ってくるね」
「お姉ちゃん…。死んじゃヤダよ。絶対、絶対、生きて帰ってきてね!マオ、待ってるから!」
涙を拭いて頑張って笑顔をつくった。
「じゃあね。マオ、元気でね!」
「うん!バイバイ!!」
大きく手を振る妹をやはり可愛いと思った。大丈夫、絶対に死なない。絶対にマオを死なせない。
「ギルバート、始末完了」
『そうか、よくやった。戻ってこい』
「了解」
私はカシュー・N・アストラック。表向きは大人しいけど、裏の顔は凄腕の暗殺者。なんで暗殺者になったかって?何でだろ。別に理由ないんだよね。
お母さんとお父さん殺されたからかな?いや、それなら復讐しようって考えるよね。まぁ、別に気にしてないけど。
「じゃあねー、キャシーちゃん!ありがとー!!」
「うん!バイバーイ!!また来てね!!」
「えぇ!泊まるとこなくなったらまた来るわー!!」
あたしはアナスタシア。あのニコライ二世の娘よ!でも、今じゃホームレス!!
でも全然平気よ。だって皆泊めてくれるもの。美味しいご飯にあったかいベッド。別に苦労なんてないわ!
でも、流石に飽きてきちゃったの。何か私の能力を生かせることはないのかしら?武術の心得もあるし、特に呪文なんて得意だし!いつのことだったかしら?生意気なクソガキを成長できなくしちゃったのよね!!
そうだわ、「誘惑の悪魔」に会ってみたい。どれだけ美しい悪魔なのか気になるわ。あたしより可愛いのかしら?
そうなれば、やっぱ軍隊しかないのかしら?フランスの軍隊に「誘惑の悪魔殲滅計画」みたいな計画あったわよね…。行ってみようかしら。
「おじさーん!!」
ヒッチハイクしてみましょ。フランスまで連れてってくれるかしら?
「何だい?お嬢ちゃん。フランス行きで急いでるんだよ」
優しそうだけど気が短そうなおじさん。白くて立派なひげが素敵だわ。
「あたしもフランスに行きたいの。乗せてくれる?」
「そんなこと急に言われてもなぁ…。荷台しか乗ると来ないよ?それでいいのかい?」
「全然いいわよ!連れて行ってくれるならね!」
「それなら乗りな。風が気持ちいいよ」
「有難う、おじさん!!」
これから新しい人生が始まるのね!考えただけでワクワクするわ!
「くっそ〜、あのアマ…」
身長が伸びなくなったじゃねぇか!!もともとチビだったのにさらに伸びねぇってどういうことだよ!!
ちょっと王女のおやつ食っただけで!!あ〜、クソー!!!ふざけんじゃねぇよ!!
「ますますチビ様ですね♪」
「うっせぇ!!」
うちの屋敷のメイドは皆「チビ様」って言いやがる。クッソー、コンプレックスなのによ…!
「だー、クソー。戻んねぇのかよ…」
どうにかして戻せねぇのかよ…。そうだ!あのアマにもう一度あって戻してもらえばいいんじゃねぇのか!?俺って天才!!
「おい、メリー!」
「はい?」
「あのアナスタシア皇女の居場所を至急特定しろ!解り次第そこへ向かう!!」
「はいはーい!」
何を考えてるのでしょう?気になりますわー。
「チビ様ー!」
3分後、メリーが声をかけてきた。
「おう!見つかったか!?」
「アナスタシア皇女様でしたらフランスですわよ」
「フランス!?」
つーかなんでフランス?わざわざロシアから…。
「あー、もー!!構わねぇ!船を出せ!!至急フランスだ!」
「何故フランスですの?」
「アナスタシア皇女が呪い掛けやがった!」
「まぁ、それは…」
大変ですわね。でも小さくて可愛らしいじゃないですの。
「可愛くなんてねぇ!!てゆーかどんどん縮んでんだよ!!」
「まぁ、おほほ…」
笑いが止まりませんわ。まだ24歳ですのに縮むなんて…。ふふっ!
「笑うなよ!!マジで今140位しかねぇんだよ!!」
20㎝近く縮んでんだよな、猛烈な勢いで…。
そして、名家デュランダル家の長男はフランスへ出港したのです。
「まぁ、命からがら逃げ出したってわけですよ」
「ふむ…。そんなに強いのか?『誘惑の悪魔』は」
「えぇ、凄く。近づいても2m近くの武器でなぎ払われるんで近寄れないわけ。おまけに発する気が強くて…。それ見ただけで弱い奴は士気低下ですよ」
「むう…。ディアでも太刀打ちできんとは…」
「でもまぁ、こっちの手中に入ったら心強いですよ。今度は俺一人で行かせてくれません?」
「…。よかろう。危険だと感じたらすぐに撤退だ」
「はいはい。じゃ、俺は」
軽く礼をして部屋を出ていく。
「ディア様…。お怪我は御座いませんか?」
「ん?アリスちゃん。体の傷は大したことないけど…。心に受けた傷は大きいかな?まさか女一人に太刀打ちできないなんてね」
「『誘惑の悪魔』ってやっぱり、綺麗なのですか?」
「あぁ、綺麗だったよ…。近寄ったら正気でいられなくなりそうだったね…」
「私…。ディア様が『魅惑の悪魔』を好きにならないか心配で…」
「何いってんの?アリスちゃん。俺の心はアリスちゃんだけのものだよ。俺がアリスちゃん以外好きになるなんてありえないっつの」
「ディア様…」
抱き着いてくる。可愛いとは思うけどねぇ?俺を満たせないんだよ、アリスちゃんじゃ。
「可愛いよ、アリス…」
嘘。こんな甘い言葉も、抱きしめ返す腕も嘘。ただの代用。本物が見つかればボロきれのように捨てられる代用なんだよ、気づいてないのかい?鈍いねぇ、アリスちゃん。哀れだねぇ…。
いつしか人は私を「誘惑の悪魔」と呼ぶようになりました。私が悪魔と魂の契約を結んだからですか?人を騙し、惑わせるからですか?私の「感情」というものは人を騙す為にあるもの。都合よく利用するためにあるもの。愛を伝える時も、可愛げな仕草をするときも、涙を流す時も…。すべては騙す為だけにあります。
「やっぱり綺麗だね。誘惑の悪魔ちゃん」
「…」
今日の餌食は彼ですか…。ただし、生体反応赤。敵です。
「死への覚悟は宜しいですか?」
躯体が黒い光に包まれ、背が裂けるような痛み、黒い翼が生えるのです。やがて躯体全体が黒く、悪魔になる。
「フュージョンの過程も綺麗だね。背中の羽が広がる所なんて、まるで絵に描いた様だよ」
「いつまでもそのようなことを言わずに」
「『さっさと勝負』っつの?いいねぇ。独りなんて寂しいもんだねぇ」
「今日は部下がいませんね」
「俺だけで決着付けようと思ってね。覚悟はいいかい?」
「…」
両刃大剣を両手に持つ。
「さぁ、俺と遊ぼうか」
開戦を告げた。両刃大剣は2m近くあるが、ディアの武器は短剣。これではさすがに分が悪い。
「たあっ!!」
スピードに自信があるディアは自慢のスピードで先手を取った。
「はっ、やぁっ!」
しかし、その攻撃は易々とガードされ、反撃の蹴りが決まる。
「くっ!」
「さすがにこれでは分が悪いでしょう。私はフュージョンを解き、武器は持ちません」
そして、人間の姿に戻り両刃大剣を捨てた。
「嘗められたもんだね。まぁ、それでいいよ。後悔するのはそっちだっつの!」
両方の短剣で足と手を狙ったが、足を狙った方は足を上げてかわされ、腕を狙った短剣は、避けられた。
「流石にそう簡単には勝たせてくれないって?」
「そう簡単に倒れるわけにはいきません」
「やっ!せいっ!」
素早い短剣捌きは傍から見れば早すぎて見えないが、誘惑の悪魔はそれを簡単にかわす。
「はっ!」
「うっ!!」
口の片端から血が流れる。
「…」
腕を銃に変え、ディアの肩を狙った。
「ちっ…。わざと外したね」
「貴方を此処で消してしまうのは惜しいです。私と共に来て下さいませんか?」
「勧誘は普通逆だっつの…」
普通は軍人の俺だろ?まさか敵に勧誘されるとね。
「誘惑の悪魔ちゃん、何か目的があって戦ってるのかい?」
「いえ、特に何も」
「それなら俺の夢に力添えしてくれるかい?それなら降伏するよ」
「何が望みですか?」
「戦いのない、貧富の差もない…。皆が自由に暮らせる世界さ。優しい人が国を治めて…。民が苦しまないような世界さ」
「…」
「意外かい?だったら笑えっつの」
少し照れくさそうに顔を赤らめている。
「…お力添えいたしましょう」
「えっ?本当かい?」
これも意外だね。まさかOKもらうなんて。
「素晴らしい国を目指すのですね。私も御手伝い致します」
「サンキュ」
ディアはフランス軍の中尉を辞め、敵と手を結んだ。それはフランス軍全体の怒りを買ったが、ディアは気にもしなかった。