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Re: 少年アリス ( No.3 )
日時: 2010/03/26 17:55
名前: αкαηё (ID: ZVqxEqci)
参照: 【少年アリス】 俺は死ぬために剣を抜くんじゃない───!

★第2章 約束 ★


 飛行船が城へと到着する。

 俺は部下達と共に城へと入っていった。


 長い廊下を歩くと、そこは王室。

 金色の置物が幾つも置かれていた。

 「ただ今帰りました」

 俺と部下は頭を深く下げる。

 すると、王がニヤりと怪しげな微笑みを浮かべた。

 「よく帰った、ヴィル。任務は?」

 俺は王の顔色を伺った。

 なにやら王は俺を少しながら疑っているようだ。

 「……任務は完了しました」

 「おお、そうか! 私はてっきり、お前が奴を殺さないのではないかと思ってな」

 「何を言うんです、俺が王を裏切るわけがないでしょう?」

 俺はいつも通り笑って見せた。

 しかし、王はそれを見破った。

 「……裏切るわけがない? いいや、違うな。お前は裏切れないだけだ」

 「——王?」

 王は立ち上がると、俺の方へと歩み寄った。

 そして、俺の部下達に外へ出るように命じた。

 すると、部下達は急いで部屋を出て行った。

 もちろんレイザットも共に。

 「ヴィル。私とお前の〝約束〟を言ってみろ」

 〝約束〟。

 言いたくなんてなかった。

 二度と口にしたくなかった。

 「——俺は貴方から命を買っていることを忘れるな…… 一生尽くせ——です」

 俺は元々、捨て子であった。

 古ぼけた町の路地裏で雨の中捨てられていたのだ。

 そこを偶然通りかかった王。

 王は俺を助けてくれて、城へと連れて行ってくれた。

 俺が少し成長して、飛行隊に入るために修行を積み重ねていた頃だった。

 俺は王に呼び出された。

 「いいか、お前の命は私が助けてやったのだ。私が助けなければ、お前は死んでいたのだ」

 「…感謝しています、王」

 「つまりだな、お前は私から命を買ったことになる。俺のために尽くせ、ヴィル」

 そのときから、俺は——約束という名の茨で縛り付けられた。

 そう、今も。

 「王、1つだけ質問よろしいでしょうか」

 「なんだ」

 「姫君を暗殺させた意味は——?」

 その時だった。

 王の目つきが変わり、その目は俺を睨み付けた。

 「お前は俺に従っていればいいのだ、意味など考えるな!」

 「し、しかし————!」

 「ええい、五月蠅い奴だ。おい、大臣!」

 王は大臣を呼ぶ。

 大臣は急いで王の元へと走ってきた。

 「何でございましょう、王」

 「おぉ、大臣。ヴィルを牢屋にぶち込んでおけ」

 は…?

 どうして俺が牢屋に入れられなければならない?

 もう、我慢の限界だ。

 約束なんて破ってしまえば良い。

 茨なんて燃やしきってしまえば良いんだ————