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Re: 【少年アリス】 俺は負けない 未来をこの手で掴むまで ( No.5 )
日時: 2010/03/26 18:06
名前: αкαηё (ID: ZVqxEqci)
参照: 【少年アリス】 俺は死ぬために剣を抜くんじゃない───!

★第5章 魔の森★

 メリッサが呪文を唱え終える。

 そのときだった。

 先ほどまで俺たちを監視していた監視兵が息なり倒れたのだ。

 「何をしたんだ?」

 「簡単な催眠術よ。2日は目は覚めないわ」

 「なるほど、これなら大丈夫だな」

 監視兵は、1週間交代で入れ替わることになっていた。

 しかも、持ち場に着くのは1人のみ。

 催眠術で眠らせてしまえば、簡単なものだ。

 「よし、行くぞ」

 俺は強く槍を握りしめた。

 そして、俺たち3人は牢屋を飛び出し、外へと駆けていった。

 「とりあえず、レアーノ森を目指すぞ。神父に早く会わないとな」

 俺たちはレアーノ森を目指して歩いていく。

 レアーノ森。

 一度、任務で行ったことがある。

 しかし、その森は『魔の森』と呼ばれていて、とても恐ろしい森であった。

 罠が仕掛けられているなど、お手の物。

 凶暴な動物たちが襲いかかり、何人もの人々が死に至った。

 そんな森に住む、王の親友の神父。

 こんな森に住むことが出来る神父も、恐ろしい。

 「ほら、着いたぞ」

 森の入り口には大きな看板が立てられていた。

 「この先、入るべからず——ってか。どうする?」

 レイザットがニヤける。

 「どうするも何も、入るしかないでしょう?」

 俺たちは森に足を踏み入れた。

 そのときだ。

 ————何者だ。

 何処からか声がした。

 「王族所属の飛行隊隊長と、巫女、そして騎士団隊長の3人だ」

 ————何をしに来た、ヴィル……

 何故、俺の名前を?

 「神父に会いに伺った」

 ————神父に会って、殺す気か。

 「神父を殺す訳ないだろう!」

 ————我は何でも知っておる。
     隣国の姫君を殺害したことも……な。
     罪のない少女。
     殺したのはお前だ。
     神父を殺さないと断言できぬ。

 「しかし————!」

 ————お前の心には少なからずの闇がある。神父は闇のある者とは接触しない。

 それだけ言い残すと、謎の声は消えていった。

 「……俺の心に——闇」

 すると、メリッサが俺を励ますように言った。

 「誰なのかも分からない声に凹まないでよ。進みましょう、先へ」

 そうだ。

 凹んでなんかいられない。

 「行くぞ、神父の元へ」